第5装甲師団 (ドイツ国防軍)

第5装甲師団の歴史と役割

第5装甲師団（5. Panzer-Division）は、1938年11月15日に設立され、ドイツ国防軍陸軍の装甲師団の一つとして、多くの歴史的局面で活躍しました。この部隊は、1935年に編成された初の3個装甲師団に続き、後の1939年のポーランド侵攻や1940年のフランス侵攻に参加しました。1941年からは中央軍集団の指揮下で東部戦線に投入され、数々の激闘を経験しました。

初期の活動

第5装甲師団は、ポーランド侵攻の際に南部への攻撃作戦を任されましたが、大規模な戦闘は少なく、比較的スムーズに作戦が進行しました。その後のフランス侵攻作戦では、ベルギーを通じて侵攻し、フランス降伏までの間に北部へ進出しました。この攻撃によって、師団の存在感を強めることができました。

1940年末には再編成が行われ、一部の部隊が新たに編成される第11装甲師団に移籍。こうした変化は、師団の戦略的な運用を反映していました。

東部戦線への投入

1941年には、ルーマニアとブルガリア方面に派遣され、ユーゴスラビアやギリシャへの侵攻に従事しました。特にギリシャ降伏後の1941年9月以降は、ソ連への侵攻に参加し、モスクワを目指しました。しかし、ソ連軍の反撃に遭い、一時的に退却を余儀なくされました。この時期は冬季の戦闘に従事し、防御に転じることが求められました。

戦局の変化

1942年には、ドイツ側の反攻作戦である「ブラウ作戦」には参戦せず、中央軍集団の防御の一翼を担いました。翌1943年に行われた「ツィタデレ作戦」においても、主に防御戦が中心となり、消耗戦を続ける結果となりました。クルスク戦以降、師団は撤退を余儀なくされ、1944年のバグラチオン作戦では、大きな損失を被りながらも北方軍集団の指揮下に入りました。

撤退と包囲

その後、クールラントや東プロイセンにおいて撤退戦を展開し、末期にはドイツ海軍による後方への脱出が一部成功しました。しかし、大部分の残存部隊は終戦までにソ連軍に包囲され、クールラントやサンビア半島、ヘル半島などに分断されました。

第5装甲師団は、東部戦線において非常に強力な部隊と見なされ、バグラチオン作戦前には可能な限り直接の交戦を避けようとする指示が出されるほどでした。これは、師団の戦闘能力が高く評価されていた証です。

編成と構成

第5装甲師団は時期によって構成が異なりますが、1939年のポーランド侵攻時の基本的な編成は以下の通りでした：

• - 第8装甲旅団
• - 第15戦車連隊（後に第11装甲師団として再編）
• - 第31戦車連隊
• - 第5歩兵旅団
• - 第13・第14歩兵連隊
• - 第8偵察大隊
• - 第116砲兵連隊
• - 第53戦車駆逐大隊
• - 第89工兵大隊
• - 第77信号大隊
• - 第85補給団

1943年には、以下の編成となりました：

• - 第31戦車連隊
• - 第13装甲擲弾兵連隊
• - 第14装甲擲弾兵連隊
• - 第5装甲偵察大隊
• - 第116装甲砲兵連隊
• - 第53戦車駆逐大隊
• - 第288対空大隊
• - 第89装甲工兵大隊
• - 第77装甲通信大隊
• - 第85装甲補給団

このように、第5装甲師団は多様な構成を持ちながら、第二次世界大戦を通じて多くの戦闘に関与し、激動の歴史を刻みました。

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