第50回高松宮記念

第50回高松宮記念：無観客競馬と劇的な降着劇

2020年3月29日、中京競馬場にて第50回高松宮記念が開催されました。しかし、このレースは、2019年末から世界的に流行し始めた新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響を大きく受け、76年ぶりとなる無観客競馬として行われました。これは、日本中央競馬会（JRA）において初めての試みでした。

COVID-19の影響と無観客競馬

COVID-19の感染拡大を防ぐため、JRAは2月29日から無観客競馬を実施していました。高松宮記念についても、3月26日に無観客開催が決定され、場外馬券発売所の営業も休止されました。そのため、馬券購入は電話投票とインターネット投票のみに限定されました。

GI競走において無観客競馬が実施されたのは、日本競馬会時代の1944年以来、76年ぶり。戦後初、そしてJRA創立後初となる異例の事態でした。

馬主の入場制限とレース当日の様子

感染拡大防止のため、日本馬主連合会は馬主の競馬場への入場を自粛するよう決定しました。GI出走馬の馬主のみ入場が許可されましたが、表彰式などは縮小されました。また、密集を避けるため、パドックでの馬主・関係者の行動も制限されました。

当初予定されていたポッカレモン消防音楽隊によるファンファーレの生演奏も中止となり、CD音源での放送となりました。

海外競馬への影響と騎手変更

COVID-19の影響は日本だけでなく、海外にも及んでいました。ドバイワールドカップデーが中止されたことにより、クリストフ・ルメール騎手や古川吉洋調教師はドバイへの渡航後、帰国して2週間の隔離を余儀なくされ、高松宮記念への参戦は叶いませんでした。

さらに、ドバイで騎乗予定だった川田将雅、武豊、ミルコ・デムーロ、横山和生騎手らは、渡航を取りやめ、高松宮記念に参戦することになりました。この影響で、いくつかの競走馬は騎手変更を余儀なくされました。例えば、ダノンスマッシュは川田騎手から三浦皇成騎手に、アイラブテーラーは和田竜二騎手から武豊騎手に変更となりました。

オーストラリアのドンカスターマイルに参戦予定だったモズアスコットも、遠征を取りやめ、急遽高松宮記念に出走することになりました。ミルコ・デムーロ騎手もドバイシーマクラシックへの参戦を取りやめ、モズアスコットの騎乗を務めました。

高松宮記念：レース展開と降着劇

レース当日の天候は晴れ、馬場は重馬場でした。

スタートからモズスーパーフレアが逃げ、クリノガウディー、ダイアトニックなどが先行する展開となりました。最終直線では、クリノガウディーが斜行し、モズスーパーフレアとダイアトニックに接触。審議の結果、クリノガウディーは4着に降着となり、モズスーパーフレアが繰り上がり優勝を果たしました。2着にグランアレグリア、3着にダイアトニックとなりました。

この降着劇は、2010年のジャパンカップ以来10年ぶりの出来事であり、JRAのGIレースにおいては大きな話題となりました。

レース結果と各馬のコメント

モズスーパーフレアの優勝は、GI初制覇であり、騎乗した松若風馬騎手、管理調教師の音無秀孝氏にとっても大きな喜びとなりました。また、父スパイツタウンにとってもJRA-GI初制覇となりました。

一方、クリノガウディーの騎手である和田竜二騎手は、斜行による騎乗停止処分を受けました。各関係者からは、レース結果に対する様々なコメントが発表されました。

まとめ

第50回高松宮記念は、COVID-19の影響による無観客競馬、そして劇的な降着劇という、歴史に残る一戦となりました。このレースは、パンデミック下における競馬開催の難しさ、そしてスポーツにおける競争の厳しさを改めて私たちに突きつけました。

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