第617中隊 (イギリス空軍)

第617中隊について

第617中隊、通称「ダムバスターズ」は、第二次世界大戦中にイギリス空軍が結成した特別な飛行隊です。この部隊は、ドイツの工業地帯に位置する重要なダムを破壊する任務を持ち、特に有名な「チャスタイズ作戦」によってその名を知られるようになりました。1943年に設立されたこの部隊の初代指揮官は、実戦経験豊富なガイ・ギブソン中佐でした。

設立の背景

第617中隊は1943年3月15日にスキャンプトン空軍基地で設立されました。この中隊の主な任務は、ドイツの兵器生産において重要な役割を果たしていたルール工業地帯への水と電力を供給するメーネ・ダム、エーデル・ダム、ゾルペ・ダムなどを破壊することでした。部隊の編制に際して、ギブソン中佐はダムを攻撃するための特殊な爆撃法の詳細が知らされておらず、優秀な地上要員たちが選抜されました。

チャスタイズ作戦

1943年5月17日、ダムを破壊するための作戦、チャスタイズ作戦は実施されました。バーンズ・ウォリス技師によって開発された反跳爆弾を使用し、中隊は成功を収めました。この作戦の結果、ギブソン中佐はビクトリア十字勲章を受賞し、功績が評価されたのです。また、作戦成功を記念して制定された中隊のバッジには、ダムの堰堤から水が溢れ出る様子が描かれているなど、部隊の誇りが表れています。

精密爆撃の専門家

1943年後半には、ギブソン中佐からレオナルド・チェシャ中佐へと指揮官が交代しました。チェシャは、特別な爆撃目標に対する精度の高い攻撃技術に貢献しました。その後、中隊は戦闘行動を継続し、トールボーイやグランドスラムといった特殊爆弾を使用して多くのドイツ軍の要塞とインフラを壊滅させました。

ティルピッツ攻撃

特に注目すべきは、1944年のティルピッツ作戦です。このドイツの戦艦は、ノルウェーのフィヨルド地帯に移動し、連合軍の輸送船団に対する脅威となっていました。数回の攻撃が行われるも、沈没には至らなかったものの、最終的にトールボーイ爆弾の使用によって11月12日、打撃を受け沈没させることに成功しました。この攻撃はJ.B.タイト中佐の指揮の下で実施されました。

戦後と現在の活動

戦後、第617中隊は対日戦への参戦も検討されましたが、日本の無条件降伏により実現しませんでした。この部隊の活動は、書籍や映画にも紹介され、特に『暁の出撃』として知られる映画によりさらに名を馳せました。また、ダムバスターズ・マーチも作曲され、現在もイギリス空軍中央軍楽隊によって演奏されています。

1958年以降はアブロ バルカンが配備され、その後F-35Bへの移行が行われました。現在、第617中隊はイングランドのマーハム基地に駐屯し、引き続き最新鋭の戦闘機であるF-35BライトニングIIを運用しています。2003年のイラク戦争では、SCALP-EGミサイルの発射を担当したことが有名です。これはイギリス空軍における重要な任務のひとつとなっています。現在、この部隊はイギリス海軍の空母クイーン・エリザベスに配置され、英海軍と共同で作戦を遂行しています。

まとめ

第617中隊は、その創設から現在に至るまで、イギリス空軍の中で重要な役割を果たしてきました。特別な技術を持つ精鋭の部隊として、今もその伝統を引き継ぎながら航空作戦を展開しています。

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