第669部隊 (イスラエル空軍)

第669空挺戦闘救難退避部隊

第669空挺戦闘救難退避部隊（Hebrew: יחידת החילוץ והפינוי הקרבי בהיטס 669、英語: Airborne Combat Rescue And Evacuation Unit 669）は、イスラエル航空宇宙軍の特殊部隊であり、主に戦闘捜索救難（CSAR）の任務を担っています。この部隊は、イスラエル軍の中でも特に精鋭とされる4つの特殊部隊の一つに位置付けられ、空軍の「シャルダグ」、海軍の「シャイェテット・13」、そして参謀本部直属の「サイェレット・マトカル」と並び称されています。

起源

第669部隊は、元々は敵支配地域で撃墜された空軍パイロットの救助を目的として設立されました。しかし、現在では地上部隊の負傷者の救命や搬送、戦闘地域からの避難民の支援、特殊部隊の移送・援護、行方不明者の捜索など、任務は多岐にわたっています。

1948年以降、イスラエルは数々の戦闘や緊急事態に直面してきました。特に、1951年にイスラエル空軍が初めてアメリカ製のヒラー360を導入したことが救難活動の第一歩となり、その後も海上や陸上での救難活動に従事してきました。しかし、その過程で多くの課題に直面しました。その代表例が1972年に発生した空中衝突事故で、救助作業の中で1名の士官が死亡し、その経験が第669部隊設立の契機となりました。

設立と進化

1973年の第四次中東戦争では、敵支配地域でのパイロット救助率が30％にも満たなかったことから、軍幹部はより強力な特殊作戦部隊の設立を検討しました。1974年に第669救難脱出部隊が創設され、その時点でのメンバーの多くが海軍出身であったことから、潜水技術を活かした救助作戦に特化していました。部隊はテルノフ空軍基地に拠点を置き、1975年から本格的な活動を開始しました。

1978年には第386救難部隊との統合により、部隊名が第669空挺救難退避部隊に改称されて以降、医療員が増加し、救助活動の質が向上しました。2004年には第5701部隊も統合され、行方不明者の捜索にも対応するようになりました。この年、初のアラブ系イスラム教徒女性兵士が衛生兵として採用されたことも、新たな一歩として注目されています。

2006年にはレバノン侵攻作戦が行われ、その後部隊名は第669空挺戦闘救難退避部隊に改められました。そして、2020年には第7特殊作戦航空団が新編され、第669部隊もその一部となりました。

実績と組織

第669部隊は数々の救難作戦を行っており、その中には1997年のヒズボラによる待ち伏せや、06年のレバノン侵攻作戦などが含まれます。訓練は厳しく、18ヶ月の選考と訓練過程の後に、選ばれた兵士たちは高い戦闘能力を持つことが求められます。

部隊の組織は、救難グループ、退避グループ、捜索グループ、訓練グループ、支援グループの5つの部門に分かれており、それぞれ異なる任務に特化しています。

訓練プロセス

第669部隊の訓練内容は多岐にわたります。基本的な歩兵訓練から始まり、空挺部隊や特殊戦の訓練、さらにはジャングル戦、砂漠戦、市街戦と幅広い戦闘訓練が含まれています。また、医療訓練、対テロ訓練、ロープレスキュー、ヘリコプターからの侵入・脱出訓練なども要求されます。これにより、兵士たちは様々な過酷な状況下でも即座に対応できる能力を身につけることが期待されています。

まとめ

イスラエルの第669空挺戦闘救難退避部隊は、特殊部隊として多様な任務に挑み続けており、パイロットや地上部隊の兵士の命を守るために奮闘しています。その活動は国際的な評価を受け、多くの国の救難部隊との協力や演習も行われており、国際的な救難能力の向上にも寄与しています。

もう一度検索