第69師団 (日本軍)

第69師団

第69師団は、太平洋戦争中に大日本帝国陸軍によって編成された師団の一つです。この師団は、占領地の警備と治安維持を目的とする治安師団として、中国大陸での作戦に従事しました。

沿革

1942年（昭和17年）2月、独立混成第16旅団を基幹として第69師団は編成されました。この独立混成第16旅団は、1940年（昭和15年）に復員した第108師団の人員と装備を引き継いでおり、補充業務は弘前師管が担当しました。編成後、第1軍に所属し、前身の独立混成第16旅団から任務を引き継ぎ、山西省中西部地域での警備と治安維持活動を行いました。

第69師団は、4つの独立歩兵大隊から成る歩兵旅団を2つ持つ丙師団でした。これは、甲師団の歩兵旅団が2個連隊で構成されるのとは対照的でした。当初、師団は砲兵力を欠いていましたが、後に師団砲兵隊が所属することとなりました。

1943年（昭和18年）には、大行作戦と大岳作戦に参加し、1944年（昭和19年）3月には運城地区へ移動、同年6月には霊宝会戦に加わりました。また、1944年5月からは大陸打通作戦の一環である京漢作戦にも参加しています。大陸打通作戦終了後の1945年（昭和20年）6月には、上海方面の防備強化のため上海近郊の嘉定に移動し、防備を固めました。しかし、その地で終戦を迎えました。

師団概要

第69師団は、中国戦線において重要な役割を担いましたが、その編成や活動は、当時の戦況と陸軍の戦略によって大きく影響を受けました。以下に、師団の主要な構成要素と、歴代の師団長、参謀長、最終司令部構成、そして最終所属部隊について詳細を記します。

歴代師団長

井上貞衛 中将：1942年（昭和17年）4月1日 - 1943年10月1日
三浦忠次郎 中将：1943年（昭和18年）10月1日 - 終戦

参謀長

宮内幸五郎 中佐：1942年（昭和17年）4月15日 - 1943年8月2日
山本良一 大佐：1943年（昭和18年）8月2日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：山本良一大佐
参謀：東富士雄少佐
高級副官：三明保真少佐

最終所属部隊

歩兵第59旅団（弘前）：伊黒清吾少将
独立歩兵第82大隊：神保信彦中佐
独立歩兵第83大隊：佐藤茂之大尉
独立歩兵第84大隊：宮原九郎大尉
独立歩兵第85大隊：西村勘治中佐
歩兵第60旅団（秋田）：国司憲太郎少将
独立歩兵第86大隊：加藤鉦雄少佐
独立歩兵第118大隊：赤星正太少佐
独立歩兵第119大隊：進藤栄次郎中佐
独立歩兵第120大隊：岡本一雄大尉
第69師団砲兵隊：内富佐市少佐
第69師団通信隊：難波一清少佐
第69師団工兵隊：田浦清治郎少佐
第69師団輜重隊：勝又繁雄中佐
第69師団野戦病院：松嶋次郎少佐

脚注

第69師団は、中国戦線における治安維持と作戦活動に従事し、その歴史は太平洋戦争の一側面を示す重要な事例と言えるでしょう。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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