第7の男

1964年 10月27日から翌1965年 1月19日にかけて、フジテレビと東北新社の共同製作により放送されたテレビドラマシリーズ。毎週火曜日の20時00分から20時56分までの枠で放送された。全15話が製作されたものの、本放送時には13話のみがオンエアされたとされている。

主演を務めたのは俳優の今井健二。後年、主に悪役として多くの作品に出演し名を知られる今井だが、本作では二枚目スター候補として起用され、その恵まれた体格を生かしたアクションシーンを披露し、正義感溢れる主人公を演じている。

内容

本作は、主人公である葵紳太郎と、その助手を務める雨宮早智子（三瀬滋子）のコンビが、次々と発生する難事件に立ち向かい、解決していく過程を描いたアクションドラマである。

主人公の葵紳太郎は、第1話ではテレビコメンテーターとして登場し、当時のフジテレビ河田町局舎も画面に映し出される。周囲からは「先生」と呼ばれ、第2話では助手に対しコラムニストのアシスタントとして働くことを提案するなど、様々な顔を持つことが示唆される。第3話で彼自身が事件の容疑者となった際、輪転機のシーンにコラムニストを示す文字が登場することから、本職はコラムニストであると推測される。しかし、その一方で、同話冒頭では国際刑事警察機構（ICPO）の捜査協力を終えて香港から帰国したばかりと語るなど、私立探偵のような活動も行っており、多岐にわたる分野で活躍している様子がうかがえる。警視庁の関係者、新聞記者、さらには情報屋など、幅広い人脈を持つことも彼の活動を支えている。彼の事務所は住居も兼ねており、事務室にはベッドが設えられている。

「フィクション表示」について

本作は、日本のテレビドラマにおいて「フィクションです」という趣旨の表示が、オープニングの最後に明確に確認できる最初期の事例として特筆される。具体的には、「こゝに登場する物語場所並びに人物はすべて創作である」という文が表示されていた。これは長らく1972年放送の『超人バロム・1』が最初だと信じられていたが、本作はそれより8年も早い時期に同様の表示を行っていたことになる。

このような「フィクションである」旨の掲示がテレビドラマで普及した背景には、1961年に三島由紀夫の小説『宴のあと』がプライバシー侵害で訴えられた裁判がある。この裁判の影響を受け、小説『宴のあと』が連載された『中央公論』誌では最終回に「実在の人物とまぎらわしい面があり、ご迷惑をかけたむきもあるようですが、作品中の登場人物の行動、性格などは、すべてフィクションで、実在の人物とは何ら関係ありません」という「ただし書き」を掲載したとされており、これが同様の注意書きが広まる契機の一つになったと考えられている。

なお、本作のフィルム原版は長らく行方不明とされていたが、2009年に発見された。

劇中車両

劇中で使用される車両には、主にフォード社製のものが用いられている。オープニングで高速道路を走行するシーンや、スタッフロールにもフォードのロゴが確認できる。劇中でも、犯人の車両特徴としてフォード車が挙げられたり、登場人物の移動手段として頻繁に登場する。当時の日本では、国産車のみならず自動車自体の普及率が低かったため、劇中に登場する車両の多くが外国車であり、左ハンドル車がほとんどであった。

キャスト

葵紳太郎：今井健二
雨宮早智子：三瀬滋子
島田警部（警視庁）：武藤英司
山崎洋

スタッフ

制作：フジテレビジョン、東北新社
プロデューサー：金子満（フジテレビ）
監督：石川義寛、山崎大助
脚本：直居欽哉、大藪郁子、宮川一郎、城山威、藤村正太、横山保朗
音楽：宮川泰
協力：市ヶ谷スタジオ、フォード

サブタイトルと放送状況

前述の通り、本作は全15話が製作されたが、本放送時に放送されたのは以下の13話であった。

第1話白い肌の誘惑
第2話嘘と真実の間に
第3話裏切りの街
第4話誘惑の指輪
第5話殺しのシルエット
第6話危険なカウンター
第7話人事不省
第8話見えない影
第9話愛と憎しみの間に
第10話彼奴の顔
第11話裏切りの報酬
第12話悪魔の指紋
第13話暗い道

本放送時に未放送となったのは以下の2話である。

香港から来た女
* 妖精は死の匂い

2009年および2013年には、CS放送のファミリー劇場にて製作された全15話が放送された。このファミリー劇場での放送時には、本放送時とは放送順が変更されており、第4話は本放送時の「誘惑の指輪」から未放送だった「香港から来た女」に差し替えられた。「誘惑の指輪」は第14話に移動し、最終話である第15話には、こちらも未放送だった「妖精は死の匂い」が置かれた構成で放送された。なお、このファミリー劇場での放送以前に再放送があったか、またその際に未放送だった2話が含まれていたかなどの詳細は不明である。

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