第71師団 (日本軍)

第71師団の概要

第71師団は、1942年4月に大日本帝国陸軍の師団として編成されました。主に満州東部での国境警備と防衛を担い、その後、太平洋戦争末期には台湾に転用されました。

編成と満州での活動

第71師団は、琿春駐屯隊（歩兵第87連隊と第88連隊を基幹）と第110師団所属の歩兵第140連隊を基幹に編成されました。1942年6月に編成を完了し、関東軍に属して満州東部のソ連国境付近の警備と防衛に従事しました。

マリアナ諸島への派遣と千島への部隊派遣

1944年2月、第71師団の一部は第5派遣隊として抽出され、マリアナ諸島のパガン島に送られました。この派遣隊は、第71歩兵団司令部と2個歩兵大隊などを中心に構成され、パガン島の防衛にあたりました。同時期には、千島にも歩兵第140連隊の一部が派遣されました。師団の主力は、同年7月に南方へ転用された第10師団に代わって、満州北部のチャムスに移動し、南方転出に対応するための訓練を行いました。

台湾への転用と終戦

1945年1月、第71師団は第10方面軍の第40軍に編入され、台湾へ転用されました。この転用に伴い、第71歩兵団司令部と捜索第71連隊は廃止されました。同年2月に台湾に到着後、嘉義付近に布陣し、連合国軍の侵攻に備えましたが、実際に交戦することなく終戦を迎えました。終戦後、師団の将兵は1946年前半に日本へ復員しました。

第5派遣隊の活動

第5派遣隊は、1944年2月に編成され、第71歩兵団司令部、歩兵第87連隊と第88連隊の各第3大隊、山砲兵第71連隊第1大隊、工兵第71連隊第3中隊から構成されていました。パガン島に上陸後、同年6月に独立混成第9連隊に改編され、引き続き島の防衛を担当しました。パガン島は連合国軍の上陸を受けませんでしたが、連日の空襲と補給途絶により、将兵は食糧難に苦しみました。終戦後、1945年10月末に日本へ復員しました。

師団の状況と疾病

台湾駐留中には、マラリアが流行し、特に歩兵第88連隊では将兵の8割以上が罹患するほどの被害が出ました。

歴代師団長と参謀長

師団長は遠山登中将が、1942年4月17日から終戦まで務めました。参謀長は、柏田秋治大佐が1942年4月15日から1944年4月8日まで、その後、加藤守敏大佐が終戦まで務めました。

最終所属部隊

歩兵第87連隊：中村敏夫大佐
歩兵第88連隊：松浦龍一大佐
歩兵第140連隊：竹内主計中佐
山砲兵第71連隊：石山虎夫大佐
工兵第71連隊：佐藤久少佐
輜重兵第71連隊：関広太中佐
第71師団通信隊：保科年夫大尉
第71師団兵器勤務隊：野口求大尉
第71師団第1野戦病院
第71師団制毒隊：石田林之助大尉
第71師団病馬廠：小田重夫大尉
第71師団防疫給水部：坂倉広海少佐

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。
示村貞夫『旭川第七師団』新北海、1984年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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