第8族元素

第8族元素について

第8族元素は、周期表においてIUPAC形式で特定のグループに分類されている元素群です。このグループには、鉄（Fe）、ルテニウム（Ru）、オスミウム（Os）、ハッシウム（Hs）の4つの元素が含まれています。

特徴と分類

この族に分類される元素は、特に遷移元素としての性質を持っています。すなわち、d軌道に未閉殻の電子が存在し、化学的な性質において驚くほどの多様性を見せることが特徴です。また、第8族から第10族までの元素は、最外殻電子に4s電子を2つ持っているため、同一周期の他の元素と比較して類似した化学的性質を示すことがあります。

第4周期の鉄（Fe）、コバルト（Co）、ニッケル（Ni）は一般に鉄族元素と呼ばれ、第五周あるいは第六周期に属するルテニウム（Ru）、ロジウム（Rh）、パラジウム（Pd）、オスミウム（Os）、イリジウム（Ir）、白金（Pt）は白金族元素として知られています。このように、族ごとの代表元素に異なる名称を付けることは他の族にはあまり見られない特徴です。

性質の違い

第8族元素でも、価電子と内殻電子の電子構造は周期によって異なります。これにより、それぞれの元素の化学的振る舞いや物理的特性が影響を受け、異なる特性を持つことになります。

鉄（Fe）の性質

鉄は地球上で最も豊富に存在する金属で、岩石圏の約5.1%を占めています。鉄は主に酸化物（例：赤鉄鉱、磁鉄鉱）や炭酸塩（例：菱鉄鉱）として自然界に存在し、鉱石資源として広く利用されています。また、隕鉄の主成分は、ニッケルを含む単体の鉄です。地球の核も基本的には鉄とニッケルの合金から成り立っていると考えられています。

一方で、ルテニウムやオスミウムは他の白金族元素と共に含まれ、岩石圏では非常に希少であり、約2×10^-6%の割合を占めています。

鉄は酸化されやすく、特に酸化物を形成する傾向が強いです。さらに、微粉末の鉄は室温下で自然発火することがあり、また高温時には炭素、リン、硫黄と反応します。鉄族元素は一般に強磁性を示します。

ルテニウム（Ru）とオスミウム（Os）の特徴

ルテニウムとオスミウムは、貴金属として知られており、空気中での酸化に対して非常に耐性を持っています。これに対して、鉄はイオン化傾向が強く、多くの酸と反応しやすいですが、ルテニウムとオスミウムは多数の酸に侵されることが少ないです。ただし、熱によって王水と反応して溶解することはあります。

これらの第8族元素は、それぞれ特徴的な性質を持ちながらも、化学的性質に関しては一定の共通点も見られます。このような理解は、材料科学や化学的反応において重要な役割を果たしています。

もう一度検索