ハッシウム

ハッシウム（Hs）

ハッシウムは、原子番号108を持つ元素で、記号はHsです。これは、超ウラン元素の一種として知られる超重元素であり、安定した同位体が存在しません。その名は、1992年にIUPACとIUPAPによって正式に認定され、ドイツのヘッセン州にちなんで「ハッシウム」（ラテン語でハッシア）と名付けられました。

名称の決定

元素名の決定に関しては、発見者による提案が優先されるのが一般的ですが、ハッシウムのケースでは、オットー・ハーンに由来する「ハーニウム」という名前も候補に挙がっていました。しかし、この名称はアメリカ化学会によって提案されたもので、既にアメリカ国内で使用されていたため、長い議論を経て最終的にハッシウムが選ばれました。その後、1997年にはIUPACによる公式発表があり、ハッシウムという名称が確定しました。

歴史的な合成

ハッシウムの合成は、1984年に重イオン研究所で行われた実験によって初めて成功しました。この実験では、ペーター・アルムブルスターやゴットフリート・ミュンツェンベルクらが、鉛と鉄のイオンを衝突させることでハッシウムを生成しました。この過程では、反応式は以下のように示されます：

```
^{208}Pb + ^{58}Fe -> ^{265}Hs + 1n
```

さらに、2002年にはスイスのベルン大学において、ハッシウムに関するいくつかの化学的性質の測定が行われました。研究者たちは、ハッシウムの酸化物の合成にも成功し、以下の反応式を用いてその過程を示しました：

```
^{269}Hs + 2O2 -> ^{269}HsO4
```

また、ハッシウム酸ナトリウムの合成も行われ、以下のように反応しました：

```
HsO4 + 2NaOH -> Na2[HsO4(OH)2]
```

物理的および化学的性質

ハッシウムについての理論的な研究では、原子番号108は魔法数と考えられており、特に中性子の魔法数を持つハッシウム270には、長い半減期が期待されています。しかし、実際の研究では、2001年5月に行われた合成実験において、キュリウム248とマグネシウム26から合成されたハッシウムは、予測された半減期が2〜7秒と比較的短命であることが分かりました。

同時に、中性子数が170を超えると安定性が増すという理論もあり、中性子魔法数184を持つハッシウム292が安定の中心として考えられています。

化合物とその性質

ハッシウムは第8族の遷移金属であり、化学的性質はオスミウムに類似しています。そのため、周期表の位置から「エカオスミウム」とも呼ばれることがあります。2002年の実験により、ハッシウムは現在確認されている元素の中で最も高い原子番号を持つ元素として注目を集めました。

• - 四酸化ハッシウム（HsO4）: オスミウムの四酸化物に似た性質を持ち、揮発性があることが特徴です。
• - ハッシウム酸ナトリウム（Na2[HsO4(OH)2]）: 四酸化ハッシウムに水酸化ナトリウムを加えて生成されます。

まとめ

ハッシウムは、その独特な性質や歴史、そして化学的特性から科学界において重要な位置を占めています。今後も、新しい合成や研究が進むことが期待されています。

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