第96期棋聖戦
「
ヒューリック杯第96期棋聖戦」は、日本
将棋連盟と産経新聞社の共催により行われる
将棋の棋戦です。本棋戦は2025年度のタイトル戦として位置づけられており、2024年5月7日から2025年にかけて実施されます。
今期の棋聖戦における最も大きな変更点は、賞金額の大幅な引き上げです。従来は非公表であった優勝賞金が4000万円に増額され、さらに優勝者に対する特別賞として1000万円が新たに設けられました。これにより、優勝者は賞金と特別賞を合わせて実質的に5000万円を獲得する可能性が生まれます。この契約金額の増額に伴い、棋聖戦の棋戦序列はこれまでの8位から6位へと昇格することが、2025年4月に公式に発表されました。この変更は、棋聖戦の
将棋界における位置づけを一層高めるものとなります。
棋聖戦は、一次予選、二次予選、決勝トーナメントという三段階の予選を経て、現棋聖への挑戦者を決定し、最終的に五番勝負でタイトル保持者を決める形式で行われます。
まず、最初の段階である一次予選は、2024年5月7日から11月25日にかけて実施されました。一次予選では持ち時間が各1時間(チェスクロック使用)と比較的短く設定されており、多くの棋士が参加する中で二次予選への出場権を目指します。この一次予選を勝ち抜いた8名が次のステージへと進みました。組合せは2024年4月23日に公表されています。
次に、二次予選は2024年10月15日から2025年2月18日の期間で行われました。二次予選では持ち時間が各3時間となり、一次予選通過者とシード棋士などが対局します。この二次予選を突破した12名が、決勝トーナメントへの進出権を獲得しました。二次予選の組合せは2024年10月10日に発表されています。
決勝トーナメントは、2025年3月13日から4月25日にかけて開催されます。二次予選を勝ち上がった12名と、前期の成績などによるシード棋士が加わり、挑戦者決定戦へと進む権利をかけて戦います。決勝トーナメントも持ち時間は各3時間です。組合せは2025年2月19日に公表されました。
そして、タイトルを争う五番勝負は、2025年6月3日から7月21日までの期間に予定されています。五番勝負の各対局は1日制で行われ、両対局者ともに持ち時間は各4時間となります。手番の先後については、第1局と第5局では
振り駒によって決定されます。
振り駒には「と金」が4枚使用されることが定められています。第2局から第4局までの手番は、前局と互いに入れ替わります。五番勝負は、一方の対局者が先に3勝を挙げた時点でその時点で決着し、以降に予定されていた対局は実施されません。
今期の棋聖戦には、女流棋士として
福間香奈女流五冠と
西山朋佳女流三冠の2名が出場しました。一方で、
青野照市九段、
室岡克彦八段、
川上猛七段、
伊奈祐介七段の4名の現役棋士は、引退予定者などの理由により今期は出場していません。
棋聖戦は、若手棋士の登竜門としても、またトップ棋士のタイトル争いとしても注目される棋戦です。特に今期は賞金の大幅な増額と序列の変更という大きな動きがあり、
将棋ファンからの注目度が例年以上に高まっています。