笹山晴生

笹山晴生：日本の古代史研究に貢献した歴史学者

笹山晴生氏（1932年12月8日-2024年4月12日）は、日本の古代史、とりわけ古代日本の軍事制度を専門とする歴史学者として知られています。東京大学文学部国史学科を卒業後、同大学院に進み、名古屋大学を経て、東京大学教養学部、文学部教授として長年教鞭を執りました。1993年には東京大学を定年退官し名誉教授となり、その後は学習院大学文学部史学科教授として後進の育成にも尽力しました。

専門分野と研究業績

笹山氏の専門は日本古代史であり、古代日本の武力・兵制に関する研究で高い評価を得ています。その研究成果は、数多くの著書や論文に結実しました。代表的な著書として、『古代国家と軍隊 皇軍と私兵の系譜』、『日本古代衛府制度の研究』などが挙げられます。これらの著作は、古代日本の政治・社会構造を理解する上で重要な知見を提供し、現在でも広く参照されています。

さらに、笹山氏は教科書の執筆・編集にも携わっていました。山川出版社の高等学校用日本史教科書の編纂は、長年にわたる日本の歴史教育に大きな影響を与えたと言えるでしょう。学術研究のみならず、広く一般への歴史教育にも貢献した点が特筆されます。

教育活動と社会貢献

笹山氏は、東京大学教授として多くの学生を指導するだけでなく、皇族への日本史講義も担当しました。浩宮徳仁親王殿下（当時）への講義は、その高い専門性と分かりやすい説明で知られていました。また、2004年から2005年にかけては、小泉純一郎内閣の「皇室典範に関する有識者会議」委員を務め、政府の政策決定にも関与しました。

これ以外にも、日本歴史学会会長、横手市史編纂委員、多摩市史編纂委員など、様々な要職を歴任し、日本の歴史研究と社会の発展に貢献しました。

著作活動

笹山氏は、単著、共著、編著、訳書など、多岐にわたる著作活動を展開しました。代表的な著書に加え、古典籍の現代語訳にも積極的に取り組み、『日本書紀』の翻訳は広く読まれています。また、井上光貞氏といった著名な歴史家の伝記も執筆し、歴史研究の多様な側面を提示しました。

これらの活動を通して、笹山氏は日本の歴史研究に多大な貢献を果たし、多くの研究者や学生に影響を与えました。その功績は、現在でも高く評価されています。

人物像と影響

笹山氏の三弟である笹山登生氏によると、「歴史家は、90%の事実があっても、残りの10%の事実が固まらなければ歴史は書けない」との言葉を残したそうです。この言葉は、歴史研究における厳格さと、事実の正確性を追求する姿勢を表しています。

笹山晴生氏の研究と教育活動、そしてその生き様は、後世の歴史研究者たちに大きな影響を与え続けることでしょう。氏の功績は、日本の歴史研究史に燦然と輝くものと言えます。

主要な著書・編著書・訳書

古代国家と軍隊 皇軍と私兵の系譜
日本古代衛府制度の研究
奈良の都 その光と影
平安の朝廷 その光と影
日本古代史講義
詳説日本史（教科書、共著）
日本書紀（現代語訳、共編訳）
続日本紀（共編）
日本律令制の構造
日本律令制の展開

（その他多数）

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