等語線

等語線（とうごせん）とは

言語地理学において、特定の語彙、発音、語義、アクセントといった言語要素の地理的な分布を地図上に示した際、その分布領域の境界線として現れる線を指します。等語線は、個々の言語現象ごとに引かれるもので、ロマンス諸語を東西に分けるラ・スペツィア＝リミニ線や、ドイツ語を南北に区切るベンラート線、ザンクト・ゴアル線などが代表的な例として知られています。

異なる言語体系を持つ二つの言語の境界に引かれる線は、特に「言語境界線」と呼ばれます。

日本においては、内閣府の諮問機関である国語調査委員会が、「口語法分布図」や「音韻分布図」（新村出・亀田次郎編）を公表し、日本語の地理的変異に関する研究に貢献しています。

周圏分布

文化的な中心地において言語変化が起こり、その変化が周辺地域へと伝播していく過程で、等語線が同心円状に形成される現象を「周圏分布」と呼びます。この現象は、言語変化の波及パターンを示すもので、柳田國男の『蝸牛考』において詳細に論じられています。

等語線に飛び地が生じる原因

等語線の分布において、連続した領域から孤立した飛び地が生じることがあります。これには、以下のような要因が考えられます。

領土や民族の飛び地: 特定の言語集団が、地理的に孤立した地域に居住している場合。
街道建設や城下町の移転などによる移住: 人口移動によって、特定の言語要素が元の地域から離れた場所に伝播する。
遠距離交易による影響: 交易を通じて、特定の言語要素が広範囲に伝わる。

等語線が湾曲する原因

等語線は、必ずしも直線的に引かれるとは限らず、湾曲することがあります。その背景には、以下のような要因が考えられます。

山や谷などの地形的な障害、川や街道などの経路: 地形や交通路が、言語要素の伝播を阻害または促進する。
領土や民族の境界: 政治的・社会的な境界が、言語要素の分布に影響を与える。
街道建設や城下町の広がりなどによる移住: 人口移動が、言語要素の分布を変化させる。

参考文献

『岩波講座 日本語 11 方言』岩波書店、1977年。
柴田武「ことばの地域差」

関連項目

* 言語地図

外部リンク

[関連サイトへのリンク (準備中)]

もう一度検索