筑後川昇開橋

筑後川昇開橋：歴史と技術が息づく可動橋

筑後川昇開橋は、福岡県大川市と佐賀県佐賀市を結ぶ、かつて国鉄佐賀線で使用されていた鉄道橋です。1935年に竣工し、その一部が垂直に昇降する昇開橋として、現存する日本最古のものです。鉄道橋としての役目を終えた後、地元住民の熱意により遊歩道として生まれ変わり、現在は両市のシンボルとして愛されています。

歴史

筑後川昇開橋は、筑後川の河口付近という立地から、大型船の航行を考慮して可動橋として建設されました。設計を担当したのは鉄道技師の釘宮磐氏で、昇開橋の基本構造は坂本種芳氏が考案しました。竣工当時は「東洋一の可動式鉄橋」と称えられ、その精巧な模型はパリ万博にも出展されました。

1987年の佐賀線廃止に伴い、橋も閉鎖され解体の危機に瀕しましたが、地元からの強い要望により存続が決定。1992年に大川市に無償譲渡され、1996年に遊歩道として再開しました。

構造と特徴

全長507.2メートルの橋のうち、可動部分は24.2メートル、昇降差は23メートルあります。この昇開橋のメカニズムは、船の航行を妨げないように橋桁の一部が垂直方向に上昇するというもので、当時の最先端技術が用いられています。

現在では、橋の両端に公園が整備され、当時の橋の姿を伝えるモニュメントや、佐賀線で使用されていた信号機などが保存されています。また、夜間にはライトアップが実施され、幻想的な雰囲気を楽しむことができます。

文化財としての価値

筑後川昇開橋は、1996年に国の登録有形文化財、2003年には国の重要文化財に指定されました。さらに、2007年には日本機械学会より機械遺産として認定され、その歴史的・技術的価値が高く評価されています。

観光情報

稼働日： 1月4日～12月28日
休業日： 毎週月曜日（祝日の場合は火曜日）
稼働時間： 9:00～17:00
通行料金： 無料（寄付金箱が設置されています）

両岸には約20台分の駐車場があり、佐賀県側には特産品直売所「橋の駅ドロンパ」があります。橋はペットの同伴やバイクの乗り入れは不可ですが、自転車は降りて通行可能です。天候や大型船の航行状況により、稼働時間が変更になる場合があります。

アクセス方法

西鉄柳川駅から：
西鉄バス「大川・諸富経由佐賀駅バスセンター」行きに乗車し、「大川橋」で下車後、徒歩。

JR佐賀駅から：
佐賀市営バス「諸富・早津江線」に乗車し、「昇開橋前」で下車。

JR羽犬塚駅から：
西鉄バス「大野島農協前」行きに乗車し、「中原高木病院前」で乗り換え、タクシーまたは西鉄バス「佐賀駅バスセンター」行きに乗車し、「大川橋」で下車。

自家用車：
九州自動車道八女ICまたは長崎自動車道東脊振ICよりアクセス。

その他の情報

筑後川昇開橋は、2003年に焼酎「二階堂」のCMロケ地としても使用されました。

旧佐賀線のルートは「徐福サイクルロード」として整備されていますが、橋上は自転車の乗車は禁止されています。

橋の近くの花宗川には、かつて跳開橋が存在していましたが、現在は撤去されています。

日本国内で現存する可動橋の鉄道橋梁は、三重県四日市市の末広橋梁のみとなっています。

まとめ

筑後川昇開橋は、鉄道橋としての役割を終えた後も、地域のシンボルとして大切に保存されています。その歴史、技術、そして美しい景観は、訪れる人々を魅了し続けています。ぜひ一度、この歴史的な橋を訪れてみてください。

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