筑紫神社

筑紫神社 (ちくしじんじゃ / つくしじんじゃ)

筑紫神社は、福岡県筑紫野市原田に位置する歴史ある神社です。この神社は式内社であり、旧社格においては県社として崇められてきました。筑紫神社は地域の人々に深く根付いており、長い歴史の中で豊かな祭事と伝説が育まれています。

祭神について

現在、筑紫神社では以下の三柱の神々が祭られています。

• - 筑紫の神（つくしのかみ）: 筑紫の国魂として知られ、地域の守護神です。
• - 玉依姫命（たまよりひめのみこと）: 後世に竈門神社から勧請された神です。
• - 坂上田村麻呂（さかのうえのたむらまろ）: 後に合祀された影響力のある英雄です。

筑紫神社の祭神に関する伝承では、筑後国と筑前国が元々一つの国、筑紫国であったとされ、その名の由来には複数の説があります。一つは、険しい坂道によって鞍が摩耗したことから「鞍尽くし」と呼ばれる説。また、人々が命を落とした神を指して「命尽くし」と解釈される説や、多くの死者の弔いをするために木が無くなったことから「木尽くし」とする説もあります。特に「命尽くし」の説は、本居宣長によって有力視されています。

筑紫神が祭神よりも重要視されていた時代に、筑紫君や肥君の祭祀が行われていたことも注目されます。筑紫君は地元の支配者であり、肥君が北九州に進出した経緯も祭祀に影響を及ぼしています。

歴史的背景

筑紫神社の創建時期は明確ではありませんが、城山の山頂にあったものが麓に移されたという説や、最初から現在地に存在していたという説が存在します。古代の『古事記』や『日本書紀』においても、「筑紫」は九州全体とされることが多く、その文化的背景は深いものがあります。

考古学的な知見からは、筑紫神社の周辺地域が弥生時代から重要な祭祀の中心であったことが示されています。特に、銅鐸祭祀の源流がこの地に存在したとされ、渡来系の影響が色濃く残っています。

筑紫神社の初見は、貞観元年（859年）に従四位下の神階が奉授されたとされ、その後も地域とともに発展してきました。明治時代にさまざまな社格の変更を受けながら、現在の県社に至っています。

祭事

筑紫神社は、年間を通じて多くの祭事を開催しています。代表的な祭事には、以下のものがあります。

• - 歳旦祭（1月1日-3日）: 新年を祝う祭り。
• - 粥卜祭（3月15日）: お粥でその年の豊作や病気を占う祭り。
• - およど（夏祭）および夏越の祓（7月19日）: 夏を迎える祭り。
• - 例祭（10月20日）: 秋の大祭。

特に注目されるのは粥卜祭です。この祭りでは、神主が特別な儀式に則り、お粥に生えたカビの様子から年の豊作や病気の兆しを占います。この行事は筑紫野市指定の無形民俗文化財に指定されています。

現地情報

筑紫神社は福岡県筑紫野市原田2550に位置しており、アクセスはJR九州の原田駅から徒歩約10分、西鉄の筑紫駅からは徒歩約20分です。地域の人々にとって、筑紫神社は信仰の対象であると同時に、文化財としての価値も見出されています。

もう一度検索