答ホン春初

答㶱 春初 (とうほん しゅんそ)

答㶱春初は、百済の出身で生没年が不詳な官吏であり武人です。彼の姓は時に塔本とも表記され、百済の役職では達率に就いていました。また、日本における冠位は大山下とされ、歴史の中で重要な役割を果たしました。

出自

答㶱氏は、九州を中心に広がる百済系の渡来氏族の一つです。聖武天皇の時代、特に神亀元年（724年）には、答㶱春初の子息と考えられる答本陽春が麻田連に改姓するという出来事がありました。このように、家系は古代日本における盛んな渡来文化の流れに根ざしています。

経歴

答㶱春初は、天智天皇2年（663年）に発生した白村江の戦いにおいて、日本と百済の連合軍が唐および新羅の連合軍に敗北した状況の中で活躍しました。この戦いは日本列島にとって重要な歴史的事件であり、唐・新羅からの攻撃の危機感が募る時期でした。そうした背景の中で、春初は天智天皇4年（665年）に長門国に派遣され、古代の山城を築く任務を受けることとなりました。この山城は、市町の茶臼山あるいは唐櫃山として特定される場所に築かれたと考えられています。

その後、天智天皇10年（671年）には、兵法における彼の貢献が認められ、他の百済系の渡来人たちと共に大山下の冠位を授与されました。このことは、春初の武人としての腕前と同時に、政治における重要性を示しています。

また、天智朝の時代には皇太子である大友皇子から学士として教えを受けており、他の著名な賓客たちとの交流があったことが記録されています。このようなネットワークは、春初の社会的地位を高めると同時に、視野を広げる助けとなったことでしょう。

脚注

彼を取り巻く歴史的な背景や活動は、古代日本における政治・軍事の重要な一端を担っていたことがわかります。彼の事績は、現代の日本人が自国の歴史を知る上でも貴重な情報を提供してくれています。人の動き、文化の交流、そして官吏としての任務などは、当時の社会や国際関係を理解するための鍵となります。

参考文献

• - 坂本太郎、平野邦雄監修『日本古代氏族人名辞典』吉川弘文館、1990年
• - 宇治谷孟『日本書紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、1988年
• - 江口孝夫『懐風藻 全訳注』講談社〈講談社学術文庫〉2000年
• - 佐伯有清編『日本古代氏族事典』雄山閣出版、1994年

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