築土神社

築土神社について

築土神社（つくどじんじゃ）は、東京都千代田区の九段にある神社で、一般には築土明神としても知られています。創建以来、平将門を主祭神としており、武勇や長久を祈願する場所として多くの人々に親しまれてきました。この神社は、千代田区北の丸公園にある日本武道館の氏神でもあります。毎年正月には勝守（かちまもり）が授与され、特に有名になっています。

祭神

現在の主祭神は天津彦火邇々杵尊（あまつひこほのににぎのみこと）で、平将門や菅原道真も配祀されています。江戸時代の文献によれば、神社の内部には平将門の首（頭蓋骨や髪）が安置されていたとされ、将門信仰の象徴的な神社とされていました。しかし、明治時代に入ると、教部省の指示により将門の地位は相殿に格下げされ、主祭神が天津彦火邇々杵尊となりました。

戦災で神社が焼失するまで、将門の首を収めていた首桶や肖像画、木造の坐像などが社宝として残っていましたが、昭和20年4月の戦災によりそれらは焼失してしまいました。現在では一部の写真が残るのみです。拝殿の装飾や絵馬には、巴紋や将門に因んだ繋ぎ馬の紋が用いられ、神社の識別に寄与しています。この繋ぎ馬は、境内にある天水桶の彫刻を模しており、築土神社の登録商標としても知られています。

神社の歴史

築土神社は天慶3年（940年）に創建され、江戸の津久戸村（上平川村、現在の千代田区大手町）に平将門の首を祀ったことに始まります。この際、塚を築いたことから「津久戸明神」と呼ばれるようになりました。室町時代には、太田道灌によって田安郷（現：千代田区九段坂上）へ移転し、「田安明神」とも称されました。この時期、日枝神社や神田明神とともに江戸三社の一つに数えられていました。

元和2年（1616年）には、江戸城の拡張工事に伴い、筑土八幡神社の近く（現：新宿区筑土八幡町）に移転し、「築土明神」と名前も改められました。そして明治7年（1874年）に現在の名称である「築土神社」に改称され、主祭神も天津彦火邇々杵尊になりました。

1945年の東京大空襲で全焼し、1954年に現在の九段中坂の途中に社殿を新たに構え移転しました。平成6年（1994年）には境内にオフィスビルが建設され、鉄筋コンクリート製の新しい社殿が立てられました。

平成18年（2006年）の築土祭では、安政6年（1859年）以来147年ぶりに神輿渡御行列が江戸城に入りました。

祭事と氏子地域

毎年9月15日の例大祭を迎える一週間は「築土祭」と呼ばれ、節目の年には神輿渡御などの行事が行われます。氏子地域は、千代田区九段北一・二丁目、九段南一・二丁目、飯田橋、富士見、北の丸公園、一ツ橋一丁目、さらには新宿区市谷船河原町に摂社があるため、この地も氏子地域に含まれています。

文化財

築土神社には、千代田区指定文化財として狛犬や力石が存在し、地域の文化を守る重要な役割を担っています。

交通

神社は東京都千代田区九段北1-14-21に位置し、九段下駅下車すぐの好立地です。また、境内は東京の中心にありながら、静謐な空間を提供しています。このように、築土神社は歴史的な価値だけでなく、地域の人々にとって大切な場所となっています。

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