筑土八幡神社

筑土八幡神社の概要

筑土八幡神社は、東京都新宿区筑土八幡町に位置する神社です。かつては筑土八幡宮と呼ばれていましたが、現在は筑土八幡神社として地域の人々に親しまれています。この神社は、その長い歴史の中で、地域の変遷を見守り続けてきました。

由緒

神社の起源は、嵯峨天皇の時代（809年 - 823年）にまで遡ります。当時、この地に住んでいた信心深い老人が夢で八幡神のお告げを受け、祀ったのが始まりとされています。その後、円仁（慈覚大師）が東国を訪れた際に祠を建て、伝教大師（最澄）作と伝えられる阿弥陀如来像を安置したとされています。文明年間（1469年 - 1487年）には、この地を支配していた上杉朝興によって社殿が建立され、地域の鎮守として崇められるようになりました。

元和2年（1616年）には、江戸城田安門付近にあった田安明神が筑土八幡神社の隣に移転し、津久戸明神社となりました。しかし、1945年の第二次世界大戦による戦災で両神社ともに全焼してしまいます。戦後、津久戸明神社は千代田区九段北に移転し、築土神社として再建されましたが、筑土八幡神社は現在でもこの地に鎮座しています。

境内社

境内には、宮比神社が祀られています。宮比神社の祭神は、宮比神で、大宮売命または天細女命とも伝えられています。この神社は、元々下宮比町一番地の旗本屋敷にあったものを、明治40年に現在の場所に移されました。現在の社殿は、戦災で焼失したものを飯田橋自治会が昭和37年と平成14年の2度にわたり寄付を募って再建したものです。

文化財

筑土八幡神社には、歴史的に価値のある文化財がいくつか存在します。

石造鳥居: 参道の途中に位置する石造の鳥居は、新宿区内最古のものです。享保11年（1726年）に当時の常陸国下館藩主であった黒田直邦によって奉納されました。総高は375cmあり、新宿区登録有形文化財（建造物）に指定されています。
庚申塔: 寛文4年（1664年）に造立された庚申塔は、太陽と月、桃の木、そして二匹の猿をあしらった舟型の石造です。通常は三猿で表現されることが多いのですが、この庚申塔では牡猿と牝猿がどちらも桃の枝を持っているという珍しい形式で表現されており、新宿区指定有形民俗文化財に指定されています。
* 田村虎蔵の顕彰碑: 唱歌『金太郎』『浦島太郎』などを手がけた作曲家、田村虎蔵の顕彰碑が境内にあります。田村虎蔵は、この神社の裏手に住んでおり、1965年にこの碑が建立されました。

祭事

毎年9月15日には例大祭が執り行われ、地域の人々で賑わいます。

アクセス

筑土八幡神社へは、JR・地下鉄飯田橋駅または都営地下鉄大江戸線・牛込[[神楽坂駅]]から徒歩約7分でアクセスできます。拝観は無料で、誰でも気軽に訪れることができます。

まとめ

筑土八幡神社は、古代からの歴史を持ち、多くの文化財を有する由緒ある神社です。都心にありながらも静かで落ち着いた雰囲気があり、歴史好きや神社巡りが好きな方にとって、訪れる価値のある場所と言えるでしょう。都心での喧騒から離れて、静かに歴史と文化を感じてみたい時におすすめです。

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