篠原有司男

篠原有司男（しのはら うしお）

篠原有司男は1932年1月17日に東京で生を受けた日本の現代美術家です。本名は篠原牛男（同じ読み）で、彼は愛称ギューチャンとも呼ばれています。2021年現在、アメリカ合衆国に住んでいます。

来歴

有司男は福岡県出身の父と日本画家の母のもとに生まれ、幼少期から芸術に触れる環境で育ちました。千代田区立番町小学校を卒業後、日本大学第二工業学校に進学。疎開先から戻った後、麻布中学校に転入し、在学中には画家の荻太郎に師事しました。

1952年、東京芸術大学美術学部に入学し、林武に教わりますが、1957年には中退。その翌年には村松画廊で初の個展を開催します。1960年には、吉村益信や赤瀬川原平、荒川修作らとともに前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」を結成。このグループは、新宿ホワイトハウスで活動し、短期間ながらも多くの伝説を生み出しました。

有司男は日本で初めて「モヒカン刈り」をし、その姿が週刊誌のグラビアに登場したこともありました。その後、『イミテーション・アート』や『花魁シリーズ』など、悪趣味でスキャンダラスな作品を次々と発表し、特に「ボクシング・ペインティング」は彼の代名詞となりました。この技法は、キャンバスをボクシンググローブで殴りつけて描くもので、マスメディアを意識したパフォーマンスであることを後に明かしています。

1969年にはロックフェラー三世基金の奨学金を取得し、家族を連れて渡米。ニューヨークを拠点に活動を続けますが、当時のアメリカではマイノリティのアーティストが市場から排除されることが多く、作品発表は日本で行っていました。90年代に入ると彼に対する本格的な再評価が始まります。

2007年には第48回毎日芸術賞を受賞し、2008年にはドキュメンタリーDVDが制作されました。2012年には、ニューヨーク州立大学ニューパルス校で初の回顧展が開催され、2013年には彼と妻の乃り子の日常を描いたドキュメンタリー映画『キューティー＆ボクサー』がサンダンス映画祭で監督賞を獲得しました。2019年には、文化庁長官表彰も受けています。

親族

有司男は前妻との間に2人の子供がいます。前妻と別居中に、当時19歳の篠原乃り子（旧姓・島）と出会い、同棲から出産を経て1979年に再婚しました。乃り子は富山県に生まれ、1972年に渡米し、アートを学びながら数多くのグループ展に参加しています。

主な展覧会

• - 「篠原有司男個展」（Japan Society Gallery, ニューヨーク、1982年）
• - 「アクション〜行為がアートになる時1949-1979」（ロサンゼルス現代美術館、1998-1999年）
• - 「篠原有司男 ボクシングペインティングとオートバイ彫刻展」（神奈川県立近代美術館、2005年）
• - 「ギュウとチュウ 篠原有司男と榎忠」（豊田市美術館、2007年）
• - 「篠原有司男・篠原乃り子二人展 Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo」（パルコミュージアム、2013年）
• - 「有司男＋乃り子：篠原展」（東京画廊+BTAP、2014年）

著書

有司男は多くの著書も残しており、代表的なものは以下の通りです。

• - 『前衛の道』（美術出版社、2006年）
• - 『ニューヨークの次郎長』（講談社、1985年）
• - 『篠原有司男対談集　早く、美しく、そしてリズミカルであれ』（美術出版社、2006年）

篠原有司男のアートは、過去から現代にかけての日本の芸術界において重要な位置を占めており、彼の活動は今なお注目の的となっています。彼の作品や人生を通して、多くの人々がインスピレーションを受け続けています。

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