簡易裁判所判事

簡易裁判所判事とは

簡易裁判所判事（かんいさいばんしょはんじ）は、日本の裁判官の一つで、一般には「簡裁判事」と略されます。下級裁判所である簡易裁判所に配置される裁判官であり、裁判所法第5条2項に規定されています。

概要

簡易裁判所判事は、単に簡易裁判所に勤務する裁判官という意味ではなく、判事補や判事とは異なる種類の裁判官の名称です。2024年4月12日現在、定員は806名となっています（裁判所職員定員法第1条）。

一般の裁判官である判事補や判事は、司法試験に合格した法曹資格を有する者から採用されますが、簡易裁判所判事の多くは裁判所書記官からの内部試験で登用されます。選考過程としては、推薦委員会からの推薦を受け、筆記試験や人物試験などを経て選ばれます。

戦後、簡易裁判所の数に対して法曹資格者が不足していたため、法曹資格者以外にも簡易裁判所判事への道が開かれていました。しかし、2000年代以降、司法試験制度の改正により司法試験合格者が急増し、法曹人口が拡大しています。そのため、将来的には法曹資格者によって欠員が順次補充されていくことが議論されています。

高等裁判所や地方裁判所に所属する裁判官（判事または判事補）が、簡易裁判所判事に兼官発令されることもあります。この場合、本官は判事または判事補であるため、裁判所職員定員法の定員には含まれません。また、判事の職にあった者が転勤を拒んだり、家庭の事情などで判事を退官し、出身地などの簡易裁判所の簡易裁判所判事になるケースもあります。簡易裁判所判事の定年は70歳であるため、判事が65歳で定年退官した後に簡易裁判所判事となる場合もあります。

任命

簡易裁判所判事は、以下のいずれかの資格を持つ者の中から、最高裁判所の指名に基づき内閣が任命します。

1. 高等裁判所長官、判事の職にあった者（裁判所法第44条1項1号）
2. 判事補、検察官、弁護士、裁判所調査官、司法研修所教官、裁判所職員総合研修所教官、法務事務官、法務教官、大学院を置く大学の法律学の教授または准[[教授]]（2007年3月までは助[[教授]]）のいずれかの職に、通算して3年以上の在職経験を有する者（裁判所法第44条1項2～5号、2項、3項）。ただし、判事補、大学の教授、准[[教授]]以外の職については、司法修習生の修習を終えた（または司法修習を受けずに検察官になった者が、検察官（副検事を除く。）または弁護士の職にあった場合は司法試験合格）後の年数のみが算入されます。
3. 長年司法事務に携わり、簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験があると、簡易裁判所判事選考委員会によって認められた者（裁判所法第45条）

まとめ

簡易裁判所判事は、身近な紛争解決を担う重要な役割を果たす裁判官です。法曹資格を持たない者にも門戸が開かれていましたが、近年は法曹人口の増加に伴い、その役割も変化しつつあります。簡易裁判所判事の選考過程や任命資格を理解することは、日本の司法制度を理解する上で重要です。

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