簿外債務

簿外債務とは

簿外債務（ぼがいさいむ）とは、企業の貸借対照表に記載されない債務のことを指します。この種の債務は、通常、企業の会計責任者が意図的に隠蔽する場合があり、デリバティブ取引や保証に関わる偶発債務などが含まれます。これらの債務は、企業の財務状況を誤解させる要因となるため、注目されるべき問題です。

偶発債務

偶発債務は、企業が未解決の訴訟や債務に対する保証を行うことに起因します。具体的には、訴訟結果によっては高額な賠償責任が発生する可能性や、債務の不履行によって保証義務が生じることがあります。一般的な貸付債権や売掛債権に関しては、企業は貸倒引当金を設定することにより、債務が発生する可能性を会計上に反映させます。しかし、訴訟事件の際には、企業側が自らの正当性や債務がないと主張することから、適切に会計上に債務発生の可能性が記述されないことがしばしばあります。

特に、金融派生商品（デリバティブ）に関する会計処理は複雑で、過去にはデリバティブ取引による損益が決済されるまで認識されなかったため、大きな損失が突然計上されることがありました。これにより、企業の財務状況が予測以上に悪化するリスクが高まります。

会計操作としての飛ばし

「飛ばし」とは、特に低価法を採用している企業が、決算期末に含み損を抱えた資産を簿価で他社に売却することで、損失を隠す行為を指します。この場合、決算期を過ぎた後に同額で買い戻す特約を付けることが一般的です。このような取引は、親会社と子会社間での決算対策として多く見られますが、受け皿として設立されたペーパーカンパニーに簿外債務を隠すことも含まれます。

日本においては、バブル崩壊後の1991年、証券取引法の改正によってこのような飛ばし行為は事実上禁止されました。現在、企業が連結決算を重視するようになったため、飛ばし行為を行うためには連結対象外の企業を利用する必要があり、その実行は困難になっています。

飛ばしの事例

過去に見られた飛ばしの事例には、以下の企業が含まれます。

• - 山一證券：業務停止に至った経緯がある。
• - 大和証券：同様の手法で一時的な業務運営を行った。
• - 日本債券信用銀行：クレディ・スイス・ファイナンシャル・プロダクツの関与により、支店長が逮捕された事件。
• - エンロン：粉飾決算が重大な結果をもたらした。
• - オリンパス事件：会計不正が問題となったケース。

関連項目

簿外債務に関連する用語としては、債務、粉飾決算、循環取引、ペーパーカンパニー、特別目的事業体、証券取引等監視委員会などがあります。これらの知識を持つことは、企業の財務情報をより正確に理解するために必要です。

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