米内内閣

米内内閣の概要

米内内閣（よないないかく）は、1940年の1月16日から7月22日まで存在した日本の内閣である。初代内閣総理大臣に任命されたのは米内光政で、彼は海軍の軍事参議官および予備役の海軍大将であった。この内閣は、当時の日本の政治情勢や国際関係に大きな影響を与えた。

政権誕生の背景

米内内閣の誕生は前内閣である阿部内閣の崩壊に端を発する。この時、日本は第二次世界大戦の影響を受けており、特にドイツのポーランド侵攻が波紋を呼んでいた。日本国内では、防共協定を結んだことを背景に日独伊三国同盟の締結を求める声が高まり、国家戦略変更が迫られていた。

昭和天皇は、陸軍から首相が選ばれることを避け、海軍からの指導者を期待するようになった。その意向のもと、内大臣の湯浅倉平を通じて、米内光政が推挙された。海軍の良識派とされる米内はその温和な性格から多くの支持を集めていた。

政府の人事

米内内閣発足と同時に、重要な閣僚の人事が行われた。国務大臣が任命されたのは1940年1月16日で、在職日数は189日。また、内閣書記官長や法制局長官、政務次官、参与官も同日に任命され、内閣の体制が整えられた。内部には米内の方針に反対する意見も多く、特に陸軍系のそちらが色濃かった。

内外の情勢と陸軍の影響

米内は当初、日独伊三国同盟には消極的な立場をとり、米国との関係改善を模索する親英米派であった。そのため、陸軍の中から反発が起こり、さらなる政局の不安定さを引き起こした。この時期、第二次世界大戦の動向が日本の政策決定に大きな影響を与えており、そのため米内内閣は内部からの抵抗や外部圧力に直面することとなる。

特に、米内内閣発足後すぐに、野党の民政党の斎藤隆夫議員が反軍演説を行い、政府の方針に挑戦しようとした。これに対して米内内閣は強く反応し、斎藤議員を議員除名に追い込む結果となった。これにより、内閣への信任は一層揺らぐこととなった。

戦局の変化と内閣の崩壊

1940年5月には、ナチス・ドイツによるフランス侵攻が始まり、国際的な圧力が强まった。特に、陸軍の中には日独伊軍事同盟の締結を求める動きが強くあり、米内内閣とは対立する状況が生まれた。当初米内はこの同盟に対して消極的であったが、最終的には彼の辞任を招く要因となる。

7月4日には、陸軍側から参謀総長が内閣に圧力をかける形で陸軍大臣の辞任が押し進められ、米内は最終的に総辞職に追い込まれる。その際、米内は辞任声明の中で、政情に鑑みて陸軍大臣が辞表を提出したことを強調し、実質的には陸軍による政権交代であったと認めている。

戦後の影響

米内内閣の崩壊は、日本の戦後においても重要な評価を受けることとなる。特に昭和天皇は、米内が内閣を率いていたら戦争にはならなかったのではないかと回想しており、彼の治世が持つ可能性や歴史的意義は今なお研究の対象となっている。米内内閣は短期間であったが、その影響は長く尾を引いている。

参考文献

• - 秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年
• - 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年

関連項目

• - [1940年]]の政治
• - [首相官邸 - 米内内閣

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