粟饅頭

粟饅頭（あわまんじゅう）

粟饅頭は、福島県河沼郡柳津町に伝わる伝統的な和菓子です。地元では長年愛される銘菓として知られています。

概要

粟饅頭は、その名の通り、粟ともち米を混ぜ合わせた生地で作られています。この生地で丁寧にこしあんを包み、蒸し上げることで独特の風味と食感が生まれます。職人が一つ一つおちょこのような型に手作業で詰めるという昔ながらの製法が守られています。

鮮やかな黄色は粟の色をイメージしたもので、見た目にも食欲をそそります。口にすると、粟のつぶつぶとした食感ともち米の粘りが絶妙に絡み合い、他では味わえない独特の食感が楽しめます。

ただし、粟饅頭は賞味期限が短いのが難点です。通常、2日程度で硬くなってしまうため、日持ちしません。長期保存する場合は、冷凍保存が推奨されています。

歴史

粟饅頭の起源は、文政元年（1818年）に柳津で発生した大火に遡ります。この大火によって、日本三大虚空蔵の一つである円蔵寺の堂塔伽藍や門前の集落が焼失してしまいました。

当時の住職であった喝岩和尚は、幕府や会津藩と協力して資金を調達し、円蔵寺の復興に尽力しました。文政12年（1829年）には本堂の再建を果たし、その際に「二度とこのような災難に『あわ』ないように」との願いを込めて、当時多く生産されていた粟を使った饅頭を門前の菓子職人に作らせ、円蔵寺に奉納したのが粟饅頭の始まりと伝えられています。

このエピソードが、粟饅頭の名前の由来にもなっています。単なるお菓子としてだけでなく、歴史と人々の願いが込められた特別な存在として、今日まで大切に受け継がれています。

その他

粟饅頭は、地元の店舗やオンラインショップで購入できます。また、観光客向けに、手作り体験を提供している施設もあります。自分で作った粟饅頭は、格別な味わいです。

参考文献

柳津町教育委員会編 編『柳津町誌』 下巻 集落編、柳津町、1977年。 NCID BN09914918。
会津事典編纂会編 編『会津大事典』国書刊行会 , 文栄堂書店(発売)、1985年。 NCID BN05058229。
亀井千歩子『47都道府県・和菓子/郷土菓子百科』丸善出版、2016年。ISBN 978-4-62-108975-0。

関連項目

栗饅頭
茶饅頭
粟饅頭とセットで販売されることが多い。

外部リンク

* あわまんじゅう || 歳時記の郷 奥会津 - 只見川電源流域振興協議会

もう一度検索