紀元前404年

紀元前404年：古代世界の転換点

紀元前404年は、古代世界において数々の重要な出来事が発生した転換期でした。ギリシアではペロポネソス戦争が終結し、アテナイがスパルタに降伏。その後のアテナイでは、スパルタの支援を受けた三十人僭主政権が成立し、多くの市民が犠牲となりました。一方、かつてアテナイを率いたアルキビアデスは暗殺され、その生涯に幕を閉じます。

ペロポネソス戦争終結とアテナイの屈服: 長期にわたるペロポネソス戦争は、アテナイの敗北で終結しました。アテナイは条件付き降伏を受け入れ、かつての栄光は失われ、スパルタの同盟国となりました。アテナイの長城は破壊され、エーゲ海沿岸のギリシア諸都市はペルシアの支配下に返還されました。アテナイの指導者、クレオポンは処刑され、テラメネスはスパルタとの交渉に当たりましたが、後に三十人僭主政権に加わることになります。

三十人僭主政権の成立と恐怖政治: スパルタはアテナイに三十人僭主政権という傀儡政権を樹立しました。この政権はクリティアスを筆頭に、テラメネスらも加わって、市民への弾圧、処刑、権利剥奪といった恐怖政治を敷きました。多くのアテナイ市民が犠牲となり、アテナイは暗黒時代へと突入します。アテナイの多くの同盟都市では、「十人支配」というスパルタの支配下に置かれる新たな統治制度が導入されました。

アルキビアデスの暗殺: かつてアテナイの卓越した将軍であったアルキビアデスは、スパルタの勝利後、ペルシアに亡命し、アテナイへの支援を模索していました。しかし、その活動はスパルタに察知され、ペルシアの太守パルナバゾスによって暗殺されました。

シチリアの情勢: シチリアでは、ディオニュシオス1世がシュラクサイの僭主として権力を掌握しました。カルタゴとの和平を経て、彼は権力の強化に努め、シュラクサイの城壁を建設し、ギリシア系の住民を追い出し、シチリア人やイタリア人の傭兵を住まわせました。

エジプトとペルシア: エジプトでは、アミュルタイオスがペルシアへの反乱に成功し、エジプト第28王朝を築きました。ペルシアではダレイオス2世が死去し、アルタクセルクセス2世が王位を継承しましたが、その過程で王位継承を巡る争いが発生し、王族間の対立が露呈しました。ダレイオス2世の息子である小キュロスは、兄アルタクセルクセス2世を暗殺しようと企てたとして告発され、その後許されました。

中国: 中国では宋の昭公が死去し、悼公が即位しました。

紀元前404年は、ペロポネソス戦争の終結という大きな出来事を中心に、ギリシア世界のみならず、シチリア、エジプト、ペルシア、中国と、古代世界各地で歴史の大きな転換点となった年でした。これらの出来事は、その後何世紀にもわたる世界史に影響を与え続けました。

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