紀元前840年

紀元前840年とは

紀元前840年は、現代において広く用いられている西暦における一つの年にあたります。この年は、人類の歴史上、様々な文化や文明において、それぞれ独自の暦（紀年法）に基づいて時間の経過が数えられていました。そのため、同じ時期であっても、西暦とは異なる年号や数え方が存在していました。

多様な紀年法におけるこの年

紀元前840年は、異なる地域や文化圏で多様な紀年法が用いられていた時代の一年です。古くから東アジアで使われてきた時間の周期を示す干支では、この年は「辛酉」（かのとのとり）にあたります。これは60年で一周する干支の組み合わせの一つです。

古代オリエント地域における紀年法としては、ユダヤ暦ではこの年は「2921年」から「2922年」の間とされます。また、メソポタミア地方で発展したアッシリア暦では「3911年」にあたります。さらに、人類全体の歴史を視野に入れた紀年法である人類紀元では「9161年」と数えられます。朝鮮半島で用いられた檀君紀元、通称「檀紀」では「1494年」にあたる年でした。

これらの異なる紀年法は、それぞれの文化や宗教、歴史観に基づいており、紀元前840年という同じ時間軸上のポイントであっても、その表現や意味合いが異なることを示しています。

当時の中国

紀元前840年の中国は、周（しゅう）王朝の時代にあたります。この時期の周王朝は、特定の王ではなく、複数の卿大夫（けいたいふ）たちが政治を取り仕切ったとされる「共和（きょうわ）」と呼ばれる特殊な政治体制下にありました。紀元前840年は、この共和制が始まってから2年目にあたる年でした。周王朝自体の権威は衰えを見せ始めていましたが、依然として多くの諸侯国に対する宗主国としての地位を保っていました。

周王朝の支配下には多数の諸侯国が存在し、それぞれが独自の君主によって統治されていました。紀元前840年当時、主要な諸侯国における君主たちの治世は以下の通りでした。

礼制を重んじた魯（ろ）国では、真公（しんこう）が即位16年目。
経済的に栄えた斉（せい）国では、武公（ぶこう）が治世11年目。
後に強国となる晋（しん）国では、釐侯（きこう）が即位元年。
西方の秦（しん）国では、秦仲（しんちゅう）が君主となって5年目。
南方の強国、楚（そ）国では、熊勇（ゆうゆう）が即位8年目。
殷王朝の子孫が治めた宋（そう）国では、釐公（きこう）が治世19年目。
比較的安定していた衛（えい）国では、釐侯（きこう）が即位15年目。
周王族の子孫が治めた陳（ちん）国では、幽公（ゆうこう）が治世15年目。
比較的長く国を治めていた蔡（さい）国では、武侯（ぶこう）が即位24年目。
同じく周王族の子孫が治めた曹（そう）国では、夷伯（いはく）が治世25年目。
* 北方に位置する燕（えん）国では、恵侯（けいこう）が即位25年目。

このように、紀元前840年の中国では、周王朝の共和体制の下で、長い歴史を持つ諸侯国から新しい君主が立った国まで、様々な状況が並存していました。

出来事と人物

紀元前840年という特定の年に、後世にまで伝わるような大きな歴史的出来事や、著名な人物の誕生あるいは死去に関する具体的な記録は、現在の歴史資料からは確認されていません。古代の記録は完全ではなく、多くの出来事が現代まで伝わっていない可能性があります。当時の人々はそれぞれの地域で生活を営み、様々な出来事が日常的に起こっていたと考えられますが、それらが歴史書に特筆大書されるほどの規模や影響力を持たなかったのかもしれません。

紀元前840年は、このように多様な紀年法が存在し、中国では周の共和と諸侯国の治世が続く一方、特定の大きな出来事の記録は少ない年でした。それぞれの地域で静かに歴史が進んでいった一年と言えるでしょう。

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