紅鉛鉱

紅鉛鉱：鮮やかな赤色の鉱物

紅[鉛]]鉱は、クロム酸鉛]（PbCrO₄）を主成分とする[[鉱物で、クロム酸塩鉱物に分類されます。鮮やかな赤色から橙色を呈するのが特徴で、その美しい色彩から古くから珍重されてきました。

この鉱物は、1766年、ロシアのエカチェリンブルク近郊のベレゾフ鉱山で初めて発見されました。発見された当時の名称は、ギリシャ語で「サフラン」を意味するκροκος（クロコス）に由来するcrocoite（クロコアイト）でした。この鮮やかな色彩がサフランの色を連想させたことが命名の由来です。

発見から数年後の1770年、ロシアの博物学者ペーター・ジーモン・パラスは、この鉱物が鉛を含んでいること、そして油絵具の顔料として優れた性質を持つことを突き止めました。「シベリアの赤い鉛」と呼ばれ、貴重な絵の具の原料として高い価値を持つようになりました。

紅鉛鉱は、単斜晶系結晶構造を有する鉛の二次鉱物です。鉛鉱床の酸化帯などで、他の鉛鉱物と共に産出することが多く、比較的珍しい鉱物として知られています。

1797年には、フランスの化学者ルイ＝ニコラ・ヴォークランが、この紅鉛鉱を分析した結果、当時まだ知られていなかった新しい元素を発見しました。この元素は、紅鉛鉱の鮮やかな赤色にちなみ、ギリシャ語の「色」を意味する単語に由来する「クロム」と名付けられました。紅鉛鉱の発見が、新しい元素の発見に繋がった重要な事例と言えるでしょう。

現在、紅鉛鉱は主にオーストラリアのタスマニア島で産出されています。その他、ロシア、アメリカ合衆国、南アフリカ共和国などでも産出が確認されていますが、タスマニア島がもっとも重要な産地となっています。

紅鉛鉱は、その美しい色彩と歴史的な背景から、鉱物コレクターや地質学者だけでなく、歴史や科学に興味を持つ人々からも注目を集める鉱物です。その鮮やかな赤色は、今もなお人々を魅了し続けています。

関連事項

鉱物
クロム酸塩鉱物
鉱物の一覧
クロム
[クロム]]酸[[鉛]

参考文献

Mindat.org: Crocoite (英語)
* Webmineral.com: Crocoite Mineral Data (英語)

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