素波里峡

素波里峡（すばりきょう）

秋田県山本郡藤里町に位置する素波里峡は、秋田白神県立自然公園内にあり、白神山地の核心地域を源流とする粕毛川上流に広がる渓谷です。「藤里町」の名前の由来にもなった「素波里」は、この地の豊かな自然を象徴する言葉です。

概要

かつて素波里峡は、深く切り込んだV字型の変化に富んだ渓谷美を誇っていましたが、昭和45年の素波里ダム建設により、その大部分がダム湖に沈みました。しかし、ダム湖となった現在も、その美しい景観は失われていません。

1952年、秋田魁新報社主催の「秋田県観光三十景」で第17位に選出された素波里峡は、その対象の多くがダム湖に沈んだものの、湖上流部の渓谷や湖岸の急峻な断崖、深く入り込んだ谷などが、かつての姿を今に伝えています。

素波里ダム下流にある素波里神社からは、V字型の深い谷と素波里不動の滝を眺めることができ、往時の面影を感じることができます。

ダム湖畔は素波里国民休養地に指定されており、右岸中央部にはふるさと自然公園素波里園地が整備されています。園内には、ふるさと自然公園センター、駐車場、キャンプ場、グラウンドゴルフ場、大型遊具を備えた冒険広場などがあり、家族連れで楽しむことができます。

林野庁東北森林管理署は、湖岸一帯の山々を素波里ダム風景林、ダム湖上流部の独鈷森（標高583m）を独鈷森風景林に指定し、自然保護に力を入れています。素波里園地から伸びる林道は、藤里駒ケ岳の樺岱登山口、小岳登山口へと繋がり、白神山地登山の秋田県側の入口の一つとなっています。秋田県道322号きみまち阪公園素波里湖線が素波里ダム湖まで通じており、湖畔には米代フォレストライン（森林基幹道米代線）が走っています。米代フォレストラインは、東北方向へは湯ノ沢温泉郷、南西方向へは能代市や八峰町へと繋がっています。

江戸時代の旅行家、菅江真澄も素波里峡を訪れており、素波里神社の境内には、不動の滝を詠んだ和歌の歌碑が設置されています。菅江真澄は、「山ふかき　たきのかげみち　行人の　ぬれて涼しく　麻のさごろも」と詠み、この地の清涼な風景を表現しました。

素波里とは、この地方の方言で「すぼまって狭い」という意味であり、藤里峡の奥にも素波里という地名が残っています。素波里園地の住所は粕毛字南鹿瀬内であり、米代フォレストラインの素波里園地手前にあるトンネルは鹿瀬内トンネルと呼ばれています。大正時代の素波里渓谷の国有林は鹿瀬内国有林と名付けられ、藤里駒ヶ岳は「カセ内嶽」や「カセナイ」と名付けられた絵図も存在します。

アクセス

車: 秋田県道322号きみまち阪公園素波里湖線経由、藤琴中心部から素波里園地まで約14キロ、約20分。
路線バス: 秋北バス「熊の岱停留所」下車。

関連項目

白神山地
藤里町
藤里峡
秋田県
秋田県の観光地
素波里神社

外部リンク

白神山地世界遺産センター（藤里館）
藤里森林生態系保全センター
* 秋田白神ガイド協会

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