細川勝益

細川勝益は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将であり、土佐国守護代を務めた人物です。細川遠州家の当主として、その名を歴史に刻んでいます。官位は治部少輔・遠江守に叙せられ、細川頼種の子孫にあたります。

生い立ちと家督相続

細川勝益は、細川氏一門の細川持益の嫡男として誕生しましたが、正確な出生年は不明です。諱の「勝」の字から、元服時に室町幕府7代将軍・足利義勝より偏諱を受けたことがわかります。1467年、父・持益の死去に伴い、祖父・細川満益の代から世襲してきた土佐守護代の地位を継承しました。同時に、在京中の細川京兆家当主・細川勝元の代官として土佐へ赴任しました。

応仁の乱と寺院寄進

同年、応仁の乱が勃発すると、勝元が率いる東軍に加勢するため上洛し、戦乱に身を投じます。この間、土佐では在地領主の勢力が増大しました。戦乱中の1471年、勝益は上洛していた下総国出身の僧・日祝に対し、京都市中に広大な寺地を寄進しました。この寺地は、南は四条通、北は錦小路通、西は万里小路（現在の柳馬場通）、東は富小路通に及ぶ約40町という広大なものでした。2年後にはこの地に頂妙寺が開山され、1495年には勝益のさらなる土地寄進により寺域が拡大しました。この寺域は現在の京都市中京区辺りに位置しています。

土佐帰国と晩年

応仁の乱終結後、勝益は土佐に戻り、土佐守護代としての職務を全うします。1501年には、曾祖父・細川頼益の追善のため、土佐田村荘（居城である田村城の南西）に桂昌寺を建立しました。この寺の建立は、土佐守護代・細川氏の権威を維持する目的があったと考えられています。1502年6月4日、勝益は生涯を閉じました。跡を継いだ子の政益が土佐守護代となります。しかし、1507年に京兆家当主の細川政元が暗殺されると（永正の錯乱）、政益は弟（または子）の国益と共に上京し、土佐は守護代不在の地となりました。

系譜

父：細川持益
母：不詳
室：不詳
男子：細川政益
男子：細川元全（1486-1523）



補足

細川勝益は、戦乱の時代に土佐守護代として、寺院建立や領地経営に尽力しました。応仁の乱では東軍に加勢し、京都での寺院寄進など、文化的な側面にも貢献しました。彼の死後、土佐は守護代不在の地となり、戦国時代の動乱に巻き込まれていくことになります。


出典

『長宗我部三代記: 四国制覇の夢』（著:羽生道英、PHP研究所版）
コトバンク 細川勝益とは
田村城 - ウェイバックマシン（2016年1月8日アーカイブ分）

もう一度検索