細川持常

細川持常の生涯と業績

細川持常（ほそかわ もちつね）は、室町時代中期の有力な守護大名であり、阿波国と三河国を支配しました。彼は、応永16年（1409年）に細川満久の子として誕生し、家の慣例に従って室町幕府の4代将軍・足利義持から名を与えられました。そして、持常としての人生が始まります。

家督の継承

持常は、父・細川満久が亡くなったのち、永享2年（1430年）に阿波国の守護に任ぜられ、家督を継承しました。その後、彼は足利義教に仕え、相伴衆として幕府において重要な役割を果たしました。

山門騒乱と海難事故

永享5年（1432年）から永享7年（1433年）にかけて発生した「山門騒乱」では、幕府側の将として参陣しました。しかし、この戦が進行する中、持常の率いる一隻の船が海難に遭い、その結果、約400名の配下が水死するという悲劇的な事故が発生しました。このような海難事故は、持常の軍事遠征における一つの試練となりました。

三河国守護への任命

さらに、永享12年（1440年）には、武田信栄と共に一色義貫を暗殺した功績により、三河国の守護に任命されました。この任命は、彼の影響力の拡大を示しており、彼が権力の中心に近づくきっかけとなりました。

嘉吉の乱

嘉吉元年（1441年）には、義教が赤松満祐の屋敷を訪れた際に、その場で義教が満祐によって暗殺されるという事件が発生しました。この時、持常は辛うじて逃げのびましたが、その後、大軍を率いて摂津国から播磨国へと出陣し、山名持豊軍と連携して満祐を討ち取ることに成功しました。この「嘉吉の乱」の勝利は、彼の名声を高める結果となりました。

繁雑な政治関係

文安5年（1448年）には、満祐の甥で潜伏していた赤松則尚の功績により、播磨を返還するよう足利義政に進言しましたが、持豊との対立関係が影響し、反対を受けました。このような政治的な駆け引きの中で、持常と持豊の関係は次第に険悪になっていきました。持常は、細川勝元との友好的な関係を築くものの、阿波細川家との距離が開いていくことになりました。

最期と後継

宝徳元年（1449年）12月16日、持常は病のため41歳でこの世を去りました。法号は桂林院道安晋翁とされています。彼の死後、弟・教祐の子である成之が家督を継ぎ、この家系はその後も続いていきました。また、文明13年12月16日（1482年1月5日）には、細川政之によって持常の33回忌が行われ、彼の存在はその後も語り継がれることとなりました。

持常は、長い間眼病に苦しんでいたという説もあり、その病は彼の治世に何らかの影響を及ぼした可能性があります。彼の生涯は、複雑な政治情勢と戦乱の中での大名の苦労を物語っており、今もなお歴史研究の重要な対象となっています。

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