組手 (空手)

空手における組手（くみて）とは

組手は、主に2人で相対して行う空手の練習方法の一つです。様々な種類があり、それぞれ目的や形式が異なります。柔道や相撲にも似た概念が存在します。

組手の種類

約束組手: 予め決められた手順に従って技を掛け合います。基本動作の習得や、技の正確性を高めることを目的とします。型分解を分解組手と呼ぶ場合もあります。
自由組手: 自由に技を掛け合います。実戦的な応用力や判断力を養うことを目的とします。相手の動きに合わせて臨機応変に対応する能力が求められます。
組手試合: 勝敗を競うことを目的とした組手です。ルールに則り、技の有効性や正確性、体力などを総合的に評価します。
乱取り'>[乱取り]]: 柔道における[[乱取り]に相当します。

組手の歴史

沖縄時代

組手は琉球王国時代から存在したと考えられていますが、具体的な形式については不明な点が多く残されています。本部朝基によれば、琉球方言で「手を組む」という表現が語源とされています。

当時の空手は型稽古が中心であり、組手が練習において大きな比重を占めていませんでした。そのため、組手に関する伝書もほとんど存在していません。

現存する最古の組手書は、本部朝基が1926年に著した『沖縄拳法唐手術組手編』です。この書には、急所攻撃など現代の競技試合では禁止されている技も含まれており、古来の組手の様子を垣間見ることができます。

大正・昭和初期

空手が本土に伝わった当初も、型稽古が中心でした。しかし、柔道や剣道などで試合が行われていた本土では、型のみの稽古に不満を持つ若者もいました。

こうした状況を受け、大塚博紀、小西康裕、山口剛玄、澤山宗海らが、それぞれ独自の約束組手や組手試合を考案しました。これらの試みが、今日の空手の組手の原型となっています。

しかし、これらの動きは、沖縄から来た空手家の指導を疑うものとして、反発を受けることもありました。特に、防具付き組手は船越義珍の怒りを買い、東大師範辞任問題にまで発展しました。そのため、空手の組手試合が正式に確立するのは、戦後まで持ち越されることになりました。

戦後

戦後、全日本空手道連盟錬武会の前身・韓武舘が防具組手を考案し、組手試合を始めました。また、全日本学生空手道連盟が伝統派（寸止め）ルールによる大会を開催しました。

1964年には全日本空手道連盟（全空連）が結成され、1969年には第1回全日本空手道選手権大会が開催されました。翌年には、第1回世界空手道選手権大会が開催され、国際的な競技としての空手が発展していきました。

一方、沖縄では、本土に比べて組手の普及が遅れていました。しかし、一部の流派では積極的に組手稽古が行われており、独自の発展を遂げました。1982年には、沖縄県空手道連盟主催の第一回空手道選手権大会が開催され、競技組手の普及とレベルアップが図られました。

組手の変質と多様化

戦後、試合ルールが統一化されなかったため、防具付き空手、寸止め空手、フルコンタクト空手が、それぞれのルールを制定して組手試合を実施しました。その結果、組手のスタイルや技術も多様化しました。

また、ボクシングやムエタイの技術を導入する動きもあり、今日の空手の組手は、沖縄古来の組手とは別物であるという批判もあります。さらに、総合格闘技ブームの影響を受け、投げ技や寝技を導入する流派も増えています。

近年では、沖縄空手の組手への回帰も唱えられており、空手の組手のあり方はますます多様化しています。

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