経分別

経分別（きょうふんべつ）について

経分別（きょうふんべつ）、またの名を『スッタ・ヴィバンガ』は、上座部仏教の重要な経典の一つです。この経典は、主に出家修行者、すなわち比丘と比丘尼が守るべき戒律について説明されています。経分別は、仏教徒が精神的な修行を行うための指針を提供するものであり、その内容は『パーリ律』に記されています。

構成

経分別は、大きく二つの部分に分かれています。最初の部分は大分別（だいふんべつ）、そしてもう一つが比丘尼分別（びくにふんべつ）です。

大分別

大分別には、比丘の戒律が227戒含まれています。これらの戒律は、倫理的な生活を支える重要な規則として位置付けられています。具体的には以下のような戒律に分類されます：

1. 波羅夷（はらい、巴: pārājika） - 4戒：これらは重大な違反とされ、破ることで出家僧としての地位を失うことになります。
2. 僧残法（そうざん-ほう、巴: saṇghādisesa） - 13戒：これらは僧団内での処罰を必要とする違反に関する規定です。
3. 不定法（ふじょう-ほう、巴: aniyata） - 2戒：具体的には記述されていないが、常に注意が必要な戒律です。
4. 捨堕法（しゃだ-ほう、巴: nissaggiya-pācittiya） - 30戒：これらは軽微な違反とされ、改善の機会が提供されます。
5. 波逸提法（はいつだい-ほう、巴: pācittiya） - 92戒：これも軽微な違反であり、悔い改めることで釈放される可能性があります。
6. 提舎尼法（だいしゃに-ほう、巴: pāṭidesanīya） - 4戒：特定の状況における規定です。
7. 衆学法（しゅがく-ほう、巴: sekhiya） - 75戒：これらは修行に必要な行動規範に関するものです。
8. 滅諍法（めつじょう-ほう、巴: adhikaraṇa-samathā） - 7戒：争い事を防ぐための規則です。

比丘尼分別

比丘尼分別では、比丘尼が守るべき311戒が詳細に記されています。こちらも各戒律には重要な意義があります。

1. 波羅夷（はらい、巴: pārājika） - 8戒：比丘のものよりも多く設定されています。
2. 僧残法（そうざん-ほう、巴: saṇghādisesa） - 17戒：比丘尼のための特有の規定が含まれています。
3. 捨堕法（しゃだ-ほう、巴: nissaggiya-pācittiya） - 30戒：再び改善の機会が与えられます。
4. 波逸提法（はいつだい-ほう、巴: pācittiya） - 166戒：多くの戒律があり、比丘尼の生活に密接に結びついています。
5. 提舎尼法（だいしゃに-ほう、巴: pāṭidesanīya） - 8戒：比丘と同様に特定の状況に適用されるものです。
6. 衆学法（しゅがく-ほう、巴: sekhiya） - 75戒：共同生活を円滑にするために必要です。
7. 滅諍法（めつじょう-ほう、巴: adhikaraṇa-samathā） - 7戒：争いごとを避けるための規範です。

日本語訳と出典

『経分別』の日本語訳は、南伝大蔵経の「律蔵1-2」に収められています。この書籍は、大蔵出版から出版されています。

経分別は、仏教徒にとって重要な教えを提供するものであり、その詳細な戒律は、生活に実践を通じた苦しみからの解放を求めるための手引きとなります。仏教の道を歩む人々がこれらの戒律を通じて相互に支え合い、成長するための基本的な枠組みを提供しています。

参考URL

• - Suttavibhanga - Access to Insight - 英訳
• - 南伝大蔵経目録

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