経国集

『経国集』について

『経国集』（けいこくしゅう）は、天長4年（827年）に淳和天皇の命により編纂された、平安時代初期の勅撰漢詩集です。この作品は全20巻から構成されており、良岑安世、菅原清公、滋野貞主などの著名な人物が編纂に関わりました。また、著者は淳和天皇をはじめ、石上宅嗣、淡海三船、空海など176人に及びますが、実際に現存するのは第1巻を含む6巻のみです。

構成と内容

『経国集』は、先行する勅撰詩集から欠落していた内容を補完する役割を果たし、8世紀初頭以降の詩、さらには賦・序・対策といった漢文も盛り込まれています。このため、この集は当時の文学や詩作の様子を知るための貴重な資料となっています。

巻の内容

• - 巻1：賦

ここでは、滋野貞主による序文が収められており、続いて賦が展開されます。賦は、特定のテーマについて流暢に描写する漢詩の一種です。

• - 巻10：詩9

楽府形式の詩が収められており、特に楽器や音楽生活に関する内容が伺えます。

• - 巻11、13、14：雑詠

各巻には多様なテーマに基づいた詩が含まれ、詩のスタイルやテーマの多様性が表れています。

• - 巻20：対策下

ここでは、各2首ずつの対策が掲載されており、漢詩の解釈や詩的思考を深めるための参考資料となります。

歴史的背景

『経国集』が編纂された背景には、平安時代の漢詩に対する関心の高まりがありました。この時期、日本の文化における漢詩の重要性が増し、また数多くの優れた漢詩作者が輩出された時代でもあります。『経国集』は、そのような時代背景の中で生まれた典型的な作品といえるでしょう。

現存資料

現在、現存しているのは第1巻をはじめとする限られた巻数ですが、それでも『経国集』は古典文学の中で重要な位置を占め続けています。資料は、京都大学貴重資料デジタルアーカイブや国立公文書館デジタルアーカイブ等で閲覧することができます。

参考文献

• - 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
• - 国立公文書館デジタルアーカイブ
• - 津田博幸編『経国集対策注釈』, 塙書房, 2019

関連項目

• - 勅撰集
• - 典論
• - 群書類従所収
• - 日本古典文学大系69（小島憲之校注）

以上のように、『経国集』は平安時代の文学を知るために欠かせない貴重な資料であり、後世の詩や文学に大きな影響を与えた作品です。

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