経覚

経覚（きょうかく）について

経覚は室町時代に活躍した法相宗の僧侶で、応永2年（1395年）に生まれ、文明5年（1473年）に亡くなるまでの間に多大な影響を与えました。彼の父は関白の九条経教、母は浄土真宗大谷本願寺の出身でした。そのため、経覚は本願寺とも深い関係を持ち、特に弟子の蓮如と宗派を越えた絆を結びました。蓮如は後に本願寺の8世となり、その教えを広める重要な役割を果たしました。経覚は興福寺別当として、4回別当の職に就いた経歴でも知られています。

生い立ちと出家

経覚は13歳の時に出家し、興福寺大乗院の考円の弟子として修行を始めました。出家から4年後には、大乗院の門主に就任し、以後も数度にわたり別當職を務めることになります。彼は室町幕府の要人、特に6代将軍足利義教との密接な関係を持ちましたが、義教の不興を買う形で一時的に大乗院を追放されることとなりました。

中央政界との関わり

経覚は室町時代の政治の中で非常に活動的でした。義教の死後は再び権力を取り戻し、大和の国人たちとの関係を深め、自らの影響力を強めていきました。彼は特に越智家や古市家といった地元の有力者と連携しながら、地域内での支配を強固にしました。また、戦乱の中でも自らの立場を固めるために様々な戦略を用いて、時には密室の駆け引きに明け暮れました。

蓮如との特別な関係

経覚と蓮如の関係は非常に特異で、宗派は異なるものの、次第に深い信頼関係を築いていきます。蓮如が本願寺の存亡の危機に直面した際も、真っ先に経覚に相談し、復活の道を見出していきます。このような支え合いが、後の本願寺の発展に繋がり、経覚の影響力をますます高めることに寄与しました。

経覚私要鈔

彼の活動や思想を知るための貴重な資料として「経覚私要鈔」が存在します。これは彼が記した日記であり、室町時代の政治や社会情勢について多くの記述があります。現存する部分は応永22年から文明4年までのものですが、室町時代の詳細な様子を知る上で非常に重要な文献です。特に、興福寺内での寺務や大和国人の動きが綴られており、当時の宗教的活動や社会情勢を理解するための貴重な資料となっています。

終焉と影響

経覚は文明5年（1473年）に迎福寺で亡くなりました。その死後も彼の影響は大きく、特に本願寺は他の宗派の信者を取り込む形で、北陸地方における強大な勢力へと成長します。彼の築いた関係性や信仰は、多くの人々に影響を与え、その後の宗教史にも名を刻むことになりました。経覚の生涯は、単なる僧侶としてのみならず、政治家やコミュニティのリーダーとしての役割を果たしていたことを示しています。

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