結城了悟

結城了悟の生涯と業績

結城了悟（ゆうき りょうご、1922年10月17日 - 2008年11月17日）は、スペイン・セビリャ出身のカトリック司祭であり、キリシタン史研究者として知られています。本名はディエゴ・パチェコ・ロペス・デ・モルラといい、日本に帰化するまで「ディエゴ・パチェコ」という通称を用いていました。

生い立ちと修道生活

1922年、スペインのセビリャで農家の次男として生まれた結城了悟は、1939年にイエズス会に入会し、マドリードで哲学を学びました。1948年には来日し、日本語を習得しました。その後、広島のイエズス会長束修練院でラテン語教師を務め、1951年には南米コロンビアのハベリアナ大学へ留学し、神学修士号を取得しました。1954年にボゴタで司祭に叙階され、南米の日系コミュニティでの宣教活動に従事しました。

日本での活動

1956年に再来日した結城了悟は、福山カトリック教会で助任司祭を務めました。1958年にはイエズス会長束修練院の副修練長に任命されました。1960年には長崎へ異動し、日本二十六聖人記念館の開館準備に尽力しました。1962年には記念館が開館し、初代館長に就任し、2004年までその職を務めました。この間、1978年には日本に帰化し、日本名である「結城了悟」に改名しました。この名前は、殉教者ペトロ岐部と結城了雪に由来します。

キリシタン史研究と文化活動

結城了悟は、キリシタン史研究に情熱を注ぎ、多くの著作を執筆しました。1970年には長崎新聞文化賞を受賞し、1975年には沖縄海洋博バチカン館のプロデューサーを務めました。1981年には西日本文化賞を受賞し、1982年には天正少年使節遣欧400周年記念事業「昭和少年使節」の総責任者を務めました。2000年には勲五等瑞宝章を受章しました。

晩年と逝去

2004年、結城了悟は日本二十六聖人記念館館長の職をデ・ルカ・レンゾ神父に譲り、司祭叙階50周年を迎えました。2008年11月17日、悪性リンパ腫のため長崎市で逝去されました。葬儀ミサは11月19日に長崎市のカトリック中町教会で行われました。

主要な著作

結城了悟は、キリシタン史に関する数多くの著書を執筆しました。以下にその主なものを紹介します。

『長崎を開いた人 - コスメ・デ・トーレスの生涯』(1969年、2007年改訂版)　長崎の開港に尽力したコスメ・デ・トーレスの生涯を描いた作品です。
『長崎の天主堂』(1976年)　長崎の教会堂の歴史と建築について詳細に解説した作品です。
『雲仙と有馬の殉教者』(1984年)　雲仙と有馬で殉教したキリシタンたちの生涯を伝えています。
『天正少年使節 - 安土桃山時代・江戸時代初期』(1986年)　天正少年使節の歴史的意義を深く掘り下げた作品です。
『日本とヴァチカン - フランシスコ・ザビエルから今日まで』(1989年)　日本とヴァチカンの関係を概観した歴史書です。
『新史料 天正少年使節 1590年‐1990年』(1990年)　新たな史料に基づき、天正少年使節の足跡を再考した作品です。
『ザビエル』(1993年)　日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの生涯を詳しく紹介したものです。
『キリシタンになった大名』(1999年)　キリスト教に改宗した大名たちの信仰と行動に焦点を当てた作品です。
『最後の迫害 - The Last Persecution』(1999年)　キリシタンへの最後の迫害について深く掘り下げています。
『海原のかなた - 長崎外国人墓地の碑』(2001年)　長崎外国人墓地に眠る人々の物語をまとめたものです。
『二十六聖人と長崎物語』(2002年)　日本二十六聖人の殉教と長崎のキリシタン史を絡めて描いています。
『ロレンソア了斎 - 平戸の琵琶法師』(2005年)　平戸の琵琶法師ロレンソア了斎の生涯を描いた作品です。

翻訳

* 『日本二十六聖人殉教記』（ルイス・フロイス著、1997年翻訳）　ルイス・フロイスの著書を翻訳したものです。

結城了悟は、その生涯をキリシタン史研究と日々の宣教活動に捧げました。彼の功績は、日本のキリシタン文化を深く理解する上で欠かせないものです。

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