結神社

結神社（むすぶじんじゃ）

結神社は岐阜県安八郡安八町に位置する神社で、その歴史は平安時代の嘉応年間（1169年～1171年）に遡ります。一説には奈良時代に創建されたとも言われており、長い間地域の人々の信仰を集めてきました。

神社の概要とご利益

結神社は「結ぶ神」として知られ、生産や縁結びに特にご利益があるとされています。近年では、恋愛成就や縁結びを求める参拝者が多く訪れ、特に正月三が日は多くの人々で賑わいます。この神社は鎌倉と京を結ぶ「鎌倉街道」沿いにあり、古くから美濃国の歌枕としての役割も果たしています。

また、著名な文学作品にも登場し、『十六夜日記』の阿仏尼や一条兼良らが詠んだ和歌においても「結ぶ神」と記されています。歴史上の有名な武将、織田信長もこの神社を信仰しており、1575年（天正3年）の長篠の戦いの際には、7日間の戦勝祈願を行った記録があります。

祭神

この神社に祀られている祭神には、天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神、そして猿田彦命が含まれています。猿田彦命は江戸時代に合祀され、天之常立神は本殿裏の磐座に鎮座している重要な神々です。

文化財と歴史

結神社にはいくつかの文化財が存在し、特に神像群が安八町の文化財に指定されています。神社は明治36年（1903年）に揖斐川の河川改修のために現在の地に移転し、その際に「結大明神」から「結神社」へと改称されました。

照手姫と小栗判官の伝説

結神社には歌舞伎や浄瑠璃の演目『小栗判官照手姫』に関連した伝説があります。永享〜嘉吉年間（1429年〜1446年）、照手姫は相模国からこの地に逃れてきました。彼女は自分の守り本尊に導かれ、結大明神に願いをかけます。満願の日、結大明神が現れて彼女の願いを叶えると告げ、守り本尊をこの地に鎮座させることになります。照手姫は小栗判官小次郎助重との結びつきを願い、最終的にその願いは実現したと言われています。

彼女の守り本尊は結神社に奉納され、十一面観世音菩薩の額に取り付けられましたが、神社の移転に伴い、現在は約100メートル南にある町屋観音堂で祭られています。阿仏尼は1277年（建治3年）にこの地を訪れ、和歌を残しました。

事件と現状

神社には常駐の神主はいませんが、隣接する大平工業にて御札や御守りを取り扱っています。2012年には、神社の本殿から17体の神像が盗まれる事件が発生しましたが、その後、同じ年の12月に神社境内で白い袋に入れられた神像が見つかり、犯人が返したと考えられています。

結神社はその歴史や文化としての背景を持ち、人々にとって大切な信仰の場であり続けています。

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