統合戦争

『超時空要塞マクロス』において、その世界観の根幹をなす出来事として語られる「統合戦争」。それは、地球規模で繰り広げられた激動の時代でした。

設定概要

2000年代初頭から約7年間（作品によって年代設定に差異あり）にわたり、地球統一政府と反統合同盟との間で繰り広げられた戦争です。これは単なる第三次世界大戦ではなく、旧時代の価値観と新時代のそれが衝突した、世界各地で頻発した紛争や内乱の総称として位置づけられています。
この戦争の終結後、地球人類は異星人ゼントラーディとの第一次星間大戦を迎えることになります。

開戦までの経緯

宇宙船の落下

1999年 7月17日、月軌道上に突如として巨大な発光物体が出現します。仮に「EVA」と名付けられたその物体は地球へ落下し、各地に甚大な被害をもたらしました。そして、小笠原諸島南端の南アタリア島へ墜落したのです。

調査の結果、それは地球外生命体の宇宙船であり、つい最近まで戦闘に参加していたと思われる痕跡が見つかりました。船のサイズから、乗員の身長は10mを超える巨人種族であると推測され、地球の科学技術を遥かに凌駕する技術を有していることも判明しました。

EVAは「ASS-1（Alien Star Ship-1）」と改名され、南アタリア島は国連の管轄下に置かれます。しかし、大衆には「直径3kmの小惑星が落下した」と発表され、異星人の存在は秘匿されました。

統合政府樹立

ASS-1の出現は、人類に大きな衝撃を与えました。未知の異星人との遭遇、そして宇宙戦争の可能性。冷戦構造を超えた地球規模での協力体制の構築が急務となり、国連主導で地球統一政府を樹立する決議がなされます。2001年2月、地球統合政府が正式に発足し、旧国家は自治権を持つ「自治区」へと再編されました。

統合政府は以下の防衛計画を発動しました。

各国の軍備を統合し、地球統合軍を設立
ASS-1を改修し、恒星間宇宙戦艦SDF-1へと作り変える
ASS-1から得られたオーバーテクノロジーを応用し、地球の科学水準を飛躍的に向上させる
宇宙軍の軍備拡張、対巨人戦闘システム（デストロイド、バトロイド）の開発
月や火星に恒久基地を設け、太陽系防衛ラインを整備
地球各地と月面に最終防衛兵器グランドキャノンシリーズを建設
* 月面地下でSDF-2（メガロード-01）を建造

しかし、統合政府が推し進める急進的な統一政策は、各地で反発を招きます。特に、軍備再編やオーバーテクノロジー導入において主導権を握った旧NATO陣営に対し、旧ワルシャワ条約機構陣営の不満は募りました。そして、統合に異を唱える反体制勢力への兵器供与、武装蜂起の支援へと繋がっていきます。

統合戦争

開戦

2000年7月（作品によって年代設定に差異あり）、世界各地で紛争や内乱が勃発します。反体制組織は「反統合同盟」を結成し、統合軍に対しゲリラ戦を展開しました。統合軍はオーバーテクノロジーを駆使し優位に立ちますが、反統合同盟もSDF-1を襲撃するなど抵抗を続けました。

激化

開戦から4年後の2005年、SDF-1などの大規模プロジェクトによる軍事費増大から世界経済は混乱し、厭戦気分が蔓延します。反統合同盟は各地で攻勢を強め、統合軍の損害も増加の一途を辿りました。テロリストによる宇宙駆逐艦の乗っ取り、ハーラン・J・ニーベンの暗殺、グランドキャノン2号機の爆破など、ゲリラ攻撃は激化の一途を辿ります。統合軍も核兵器を使用するなど、事態は泥沼化していきました。

終戦

2007年1月、ロシアの反統合勢力の降伏により、統合戦争は一応の終結を迎えます。しかし、長きに渡る内戦は人々に深い傷跡を残し、異星人の脅威は忘れ去られていきました。SDF-1は2009年2月に完成し「マクロス」と命名されますが、その重要性は以前ほどではなくなっていました。

マヤン島事変

南太平洋のマヤン島近海で、ASS-1と類似した反応を示す謎の物体AFOSが発見されます。新たなオーバーテクノロジーを求め、統合軍と反統合同盟はAFOSを巡り争奪戦を繰り広げました。その中で、プロトカルチャーと呼ばれる太古の異星人が人類創生に深く関与していたことが明らかになります。

この戦いでは、両軍が開発を進めていた対巨人戦闘システムのプロトタイプが投入され、可変戦闘機同士による初の戦闘が繰り広げられました。

地球統合政府樹立

マヤン島における争奪戦後、反統合同盟は衰退し、2008年11月（または12月）に正式に地球統合政府が樹立されました。

『ロボテック』版

海外版『ロボテック』では、統合戦争（Grobal Civil War）はASS-1落下前から国家間の紛争が拡大した結果であるとされ、ASS-1の落下が戦争終結のきっかけになったと解釈されています。

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