続サラリーマン清水港

『続サラリーマン清水港』は、1962年3月7日に東宝系で公開された日本映画です。カラー作品で、東宝スコープのフォーマットが用いられています。

本作は、『社長』シリーズの第13作目にあたります。主人公である山本長五郎は、今回も持ち前の明るさと人情味で、様々な困難に立ち向かいます。

物語の中心となるのは、業績不振に陥っている酒造会社「神戸屋」です。神戸屋の若社長・神田長吉は、多額の借金を抱え、会社の存続の危機に瀕していました。長五郎は、神田社長と出会ったことをきっかけに、神戸屋を救済しようと決意します。

長五郎は、神戸屋を救うため奔走しますが、様々な障害に直面します。まず、長五郎自身の会社「清水屋」では、集中豪雨による工場の水浸しという緊急事態が発生。復旧工事には多額の費用が必要となり、神戸屋救済のための資金が不足してしまいます。

さらに、神戸屋を狙うライバル会社「黒駒醸造」の陰謀も絡んできます。黒駒醸造は、神戸屋を手に入れるために、安濃徳銀行の頭取である安濃徳次郎と手を組んでいました。

長五郎は、窮地を脱するため、様々な策を講じます。石井松太郎秘書課長との連携プレーや、親友である吉良仁吉のまさかの協力など、周囲の人々の助けも得ながら、困難を乗り越えていきます。

物語には、コミカルな要素も数多く盛り込まれています。清水屋と黒駒醸造の都市対抗野球での対決や、石井松太郎の恋の行方、山本長五郎と吉良仁吉の友情など、様々なエピソードが、テンポの良い展開で描かれています。

出演陣は、森繁久彌演じる山本長五郎をはじめ、小林桂樹、加東大介、三木のり平、夏木陽介、藤山陽子、草笛光子、新珠三千代、東野英治郎、河津清三郎、司葉子、宝田明、志村喬といった、当時を代表する豪華俳優陣が勢ぞろいしています。

監督は松林宗恵。脚本は笠原良三が担当しました。その他、西垣六郎（撮影）、岩下広一（編集）、神津善行（音楽）、浜上兵衛（美術）など、実力派スタッフが脇を固めています。

『続サラリーマン清水港』は、笑いと涙、そして友情と人情が詰まった、娯楽性あふれる作品となっています。時代劇のような派手さはありませんが、人間ドラマの深さとユーモラスな演出が、観る者の心を掴みます。1960年代の日本の社会状況や人々の生き様を垣間見ることができる、貴重な作品と言えるでしょう。

本作は、『社長』シリーズの中でも特に人気が高い作品の一つとされています。シリーズを通して描かれる、山本長五郎の人間性と、彼を取り巻く人々の温かい繋がりは、多くの観客の共感を呼びました。

この映画は、単なる娯楽作品としてだけでなく、時代背景や社会風俗を反映した作品としても高い評価を受けています。日本の高度経済成長期の始まりを背景に、人々の生き方や社会構造の変化が繊細に描かれている点が、本作の魅力の一つです。

『続サラリーマン清水港』は、時代を超えて多くの人々に愛される、名作日本映画として記憶されています。

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