続・世界残酷物語

1963年に公開されたイタリア映画『続・世界残酷物語』（原題：Mondo cane 2）は、世界中に衝撃を与えたモンド映画の金字塔『世界残酷物語』の続編にあたります。前作で注目を集めたグァルティエロ・ヤコペッティと、共同監督のフランコ・プロスペリがメガホンを取りました。

製作の舞台裏には、独特な事情がありました。当時、ヤコペッティは交通事故で入院しており、製作にはほとんど直接関与できなかったとされています。代わりに、プロスペリが前作撮影時に未使用だったヤコペッティのフィルム素材と、自身で新たに撮影した映像を組み合わせて編集作業を進めました。このため、厳密にはプロスペリの色の濃い作品と言えるかもしれません。

映画の内容は、前作同様、世界各地から集められた様々な風習や出来事を、好奇心と時として残酷な視点を通して矢継ぎ早に見せていくスタイルを踏襲しています。しかし、単なる珍奇さの追求に留まらず、今作では戦争や環境問題といった、より社会的なテーマにも視点が向けられています。

作品に登場するエピソードは多岐にわたります。例えば、物議を醸した犬の声帯除去手術の様子は、前作が動物愛護の観点からイギリスで上映禁止になったことへの皮肉とも受け取れるナレーションと共に提示されます。メキシコの死者の日では、イスカリオテのユダを模した巨大なケーキを皆で切り分けて食べるというユニークな習俗や、食用となる昆虫を扱う屋台の様子が映し出されます。また、マサイ族の牛糞で作られた住居や、女性が小石を食べるという風習など、地域ごとの生活様式が紹介されます。

現代社会の側面も描かれます。アメリカでは、自動化されたレストランや無人料金所といった当時の先端技術、あるいはトレーラーハウスで営業する娼婦といった社会の片隅にも光が当てられます。ロサンゼルスの高級棺桶店やエンバーミング講習会の様子からは、死に対する文化の違いも感じ取れます。また、スペイン南部で行われるという生前葬の祭りや、インドの修行僧による過酷な苦行など、人間の精神性に関わるテーマも取り上げられます。

社会派の視点としては、南ベトナムでの反政府運動や、仏教僧ティック・クアン・ドックの焼身自殺という衝撃的な出来事が記録されています。さらに、ケニアのマガディ湖で環境破壊によって衰弱するフラミンゴの姿は、自然破壊への警鐘とも受け取れます。これらのエピソードは、単なる見世物としてではなく、当時の世界の現状や問題を提起する意図も感じさせます。

他にも、パリの女装者専門ナイトクラブ、メキシコ警官の曲撃ち、シンガポールでの闘ツグミや闘魚、ブリュッセルの水かけストリップショー、ロンドン・ハイドパークのスピーカーズ・コーナーでの素人演説会、アメリカ・トゥームストーンでのガンマン祭り、イタリア・サルデーニャ島の石頭コンテスト、さらにはビンタで音楽を奏でるオーケストラや、古代ローマを再現した前衛絵画の制作風景など、多種多様な映像が収録されています。

音楽は前作に引き続きニーノ・オリヴィエロが担当し、主題歌はミルヴァが歌う「世界を愛して」（I'll set my love to music）が採用されました。これらの要素が組み合わさることで、『続・世界残酷物語』は、前作が提示した「モンド映画」のスタイルを発展させつつ、より広範な世界の現実、時には目を背けたくなるような光景をも映し出した作品となっています。多くの演出や「やらせ」が含まれているとされるものの、その衝撃的な映像群は、観る者に強烈な印象を残すことは間違いありません。

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