続・社長えんま帖

『続・社長えんま帖』:社長シリーズの転換点



1969年5月17日東宝系で公開された『続・社長えんま帖』は、日本[[映画]]史に名を残す『社長シリーズ』の第31作目です。カラー、シネマスコープの技術を駆使し、当時の観客を魅了しました。

本作は、シリーズ全体における大きな転換期を示唆する作品となっています。森繁久彌演じる大高社長は、東野英治郎演じる大社長から社長の座を譲られることを示唆する発言をします。同時に、小林桂樹演じる西条が社長の出張中に社長代理を務める展開は、まさに次作『社長学ABC』へと繋がる重要な伏線となっています。この社長交代劇は、今後のシリーズ展開、特に森繁久彌の降板と小林桂樹による社長就任という大きな変化を予感させるものでした。

豪華キャストも本作の魅力です。森繁久彌小林桂樹といったベテラン俳優に加え、加東大介久慈あさみ司葉子など、個性豊かな俳優陣が脇を固めます。若手俳優の関口宏藤岡琢也の出演も、作品に新鮮な風を吹き込んでいます。さらに、草笛光子団令子といった当時人気を博した女優陣の出演も見逃せません。

スタッフ陣も、日本[[映画]]界を代表する名だたる面々です。製作は藤本真澄、脚本は笠原良三、監督は松林宗恵と、それぞれの分野で高い評価を得ているベテランたちが集結しました。撮影は鈴木斌、照明は石井長四郎、美術は中古智、録音は矢野口文雄、音楽は神津善行、編集は岩下広一と、作品クオリティを高めるための徹底した体制が敷かれていたことがわかります。スチール撮影は吉崎松雄が担当しました。

ストーリーは、社長の後継者問題を中心に展開します。大高社長の後継者選び、社内における権力争い、そしてそれぞれの登場人物の人間模様が複雑に絡み合い、見応えのある内容となっています。コメディタッチながらも、企業における世代交代や、組織運営における様々な問題を巧みに描いた作品といえるでしょう。

本作は、単なる娯楽作品としてだけでなく、高度経済成長期における日本の企業社会の縮図を映し出した社会派作品としての側面も持ち合わせています。企業の成長と同時に生じる世代間の葛藤、伝統と革新の狭間で揺れる企業の姿などが、丁寧に描かれています。

『続・社長えんま帖』は、単なるシリーズの一作品としてではなく、日本の企業社会や時代背景を反映した、重要な作品として捉えるべきでしょう。豪華キャスト、スタッフ、そして時代背景を理解することで、より深く作品を楽しむことができるはずです。

同時上映作品として、仲代達矢主演、五社英雄監督の『御用金』が挙げられています。こちらも時代劇として高い評価を得た作品であり、『続・社長えんま帖』と合わせて、当時の映画界の賑わいを垣間見ることができます。

参考文献として挙げられている「演技者 小林桂樹の全仕事」は、本作を含む小林桂樹の出演作品に関する詳細な情報が記載されており、本作の理解を深める上で役立つでしょう。

『続・社長えんま帖』は、社長シリーズの歴史において重要な転換点を示すだけでなく、日本の高度経済成長期における社会情勢を反映した、見逃せない作品です。

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