続古今和歌集

『続古今和歌集』の概要

『続古今和歌集』（しょくこきんわかしゅう）は、鎌倉時代に作成された勅撰和歌集で、全20巻から成り、収録歌数は1915首です。これは伝本によって多少異なることがありますが、その範囲内で評価されています。この歌集は、貴族文化が栄えた時代の作品として、和歌の美しさや技巧を享受する場を提供してきました。

構成と撰者

この和歌集には、撰者の一人である九条基家による仮名序と、菅原長成による真名序が含まれています。また、歌人の採集に関する情報を持つ『続古今和歌集目録』が二種類存在し、これにより当時の歌人の入集歌数や略伝が一覧化されています。歌の部立ては、四季ごとに分けられ、さらに宗教や恋愛、哀悼の歌などが組み込まれています。

部立の概要は以下の通りです：

• - 春（上・下）
• - 夏
• - 秋（上・下）
• - 冬
• - 神祇
• - 釈教
• - 離別
• - 羇旅
• - 恋（五巻）
• - 哀傷
• - 雑（三巻）
• - 賀

成立の経緯

この作品の成立は、正元元年（1259年）にさかのぼります。当時の御子左家の当主である藤原為家は、後嵯峨院から勅撰集の作成を依頼されました。しかし、弘長2年（1262年）には、九条基家、衣笠家良、六条行家、葉室光俊の4名が新たに撰者として加わりました。この背景には、光俊が鎌倉将軍宗尊親王と親しい関係にあったことや、後嵯峨院が『新古今和歌集』に倣って複数の撰者で構成しようとした意図があると考えられています。

為家は、この動きに対して不満を抱き、その後、歌の選定を嫡男である為氏に任せることになったと『井蛙抄』には記されています。最終的には、文永2年（1265年）に奏覧され、文永3年3月12日には完成を迎えました。なお、家良は文永元年（1264年）に亡くなり、その完成を見ずしてしまいました。

歌人たちと収録内容

この歌集には、当時の有名な歌人たちの作品が含まれています。特に鎌倉将軍宗尊親王（67首）、政界の大老・西園寺実氏（61首）、そして後嵯峨院（54首）が、多くの歌を残しています。また、撰者たち自身も20首以上の歌がこの集に入っています。歴史的な歌人たちの作品も多く、『新古今和歌集』の基盤となった藤原定家（56首）、後鳥羽院（49首）、藤原家隆（41首）が名を残しています。

興味深いことに、歌人として評価されていた土御門院が、順徳院よりも多くの首を収めていることがあります。これは、後嵯峨院の意向が影響している可能性があります。

歌風とその特徴

後嵯峨院の関わりは明確ではありませんが、形式や内容は『新古今和歌集』の影響を強く受けています。そのため、歌風は華麗さを特徴としつつも、伝統的な要素も色濃く残されています。また、平安時代の古歌が多数初めて勅撰として採録されたことも、この集の大きな意義と言えるでしょう。

校訂本

この歌集に関する校訂本としては、久保田淳、藤川功和、山本啓介、木村尚志が共同で編纂した『続古今和歌集　和歌文学大系38』が2019年に明治書院から刊行されています。これによって、より深い理解と研究が促進されることを期待しています。

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