続神皇正統記

続神皇正統記の概要

『続神皇正統記』（ぞくじんのうしょうとうき）は、室町時代後期に、小槻晴富（誤って壬生晴富とも表記されることがあります）が執筆した歴史的な論書です。本書は、北畠親房の著作『神皇正統記』の続編としての形を取りながら、その内容や見解に対して批判的な立場を取っています。執筆時期は文明3年（1471年）2月から文明14年（1482年）5月にかけてと推測されています。

本書の主題

『続神皇正統記』の際立った特徴は、北畠親房の『神皇正統記』に対する厳しい批判です。『神皇正統記』では、嫡流を重視し、後嵯峨天皇以降の皇位継承において正理論を展開し、南朝系の大覚寺統を正当な皇統として扱っています。これに対して、小槻晴富は南朝の後村上天皇を「南方偽主」として排除し、光厳天皇以来、北朝の持明院統が「後嵯峨院御正嫡の御流」であると主張します。

南北朝の文脈

この時代の南北朝は、皇統を巡る激しい論争の時期でした。『続神皇正統記』の内容は、当時の朝廷や官吏であった小槻晴富の立場から見た皇統正当性に関するものです。彼が南朝（後南朝）を否定し、北朝を擁護する論旨は不自然ではなく、むしろ当時の政治的状況や親族関係を考慮すれば、理にかなった行動であったと言えます。

影響と批判

『続神皇正統記』は、完成後しばらくしてから、南朝正統論の支持者から強い批判を受けるようになります。その理由は、南北朝の正統性に関する見解が異なるためです。特に、近世になってからは、南朝の正統性を論じる声が高まる中で、著者である小槻晴富は悪名を馳せることとなりました。

著者小槻晴富

小槻晴富は南北朝合一の直後にはまだ生まれていなかったものの、彼が幼少期の間、南朝最後の後亀山天皇が健在であったことが影響していると考えられます。また、南朝復興を求める動きが15世紀後半まで続いていたため、この時代において政治や歴史に対する理解が深まり、『続神皇正統記』が書かれた背景には、このような激動の時代があったことを忘れてはなりません。

まとめ

『続神皇正統記』は、室町時代の皇統に関する重要な論考であり、南北朝正統論争の中で求められる見解や立場を示す貴重な資料です。著者小槻晴富の視点から記されたこの書は、当時の歴史的状況を理解する上で欠かせない要素となっています。また、本書を通じて、歴史を巡る議論や見解の変遷についても思考を巡らせることができるでしょう。

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