維摩居士

維摩居士（ゆいまこじ）について

維摩居士は古代インドに実在した可能性のある商人で、仏教の大乗の教えを広めるために重要な役割を果たしました。彼は釈迦の在家の弟子であり、釈迦の教えを支援するために生きた人物とされています。具体的には、彼は毘舎離城（ヴァイシャーリー）の富豪であり、在家弟子としての生活を送りました。その生没年は不明ですが、彼が持つ教義は後世に大きな影響を与えました。

彼の背景と生涯

惟摩居士は、前世で妙喜国に住んでいたとされ、そこから化生し、現世では在俗の姿で生きることとなりました。彼は「無生忍」という境地に達し、法身の大居士として知られています。彼の名前は『維摩経』と呼ばれる北伝の大乗経典に頻繁に登場することからも、仏教の教義を学び、伝える重要な人物であったことが伺えます。

実在と虚構の狭間

彼の存在については、まさに議論の的です。北伝の経典では彼の名が多く取り上げられる一方、南伝のパーリ語文献『大般涅槃経』には「威徳無垢称王」という名前が登場します。これを維摩居士と同一視することで、彼の実在性を見出す見解も存在します。

有名な問答と教え

維摩居士が病に倒れた際、釈迦は弟子たちに彼を見舞うよう勧めましたが、彼らはその独特な教えに圧倒され、誰も赴こうとしませんでした。その際、文殊菩薩が彼の元を訪れ、二人の間で有名な対話が行われました。文殊が「どのようにすれば仏道を成就できるのか」と尋ねると、維摩は「非道を行なうことが仏道を通じる方法である」と答えました。このやり取りは、大乗仏教における教義の重要な側面を示しています。

特に注目すべきは、維摩居士が「菩薩は五無間を行ずれども、悩恚なし」と述べている点です。これは、外見上は非道とされるような事を行っていても、それに心を囚われないことで仏道を理解することができる、という教えを伝えています。

このような維摩の教えは、『維摩経』という大乗経典において繰り返し述べられており、特に禅宗の教えの源にもなっています。また、彼の哲学的な思想は、後の禅僧たちによっても多く引用され、特に一休宗純などの代表的な禅僧においてもその影響が見られます。

結論

維摩居士は、その教えや思考法により、仏教界における重要な疎通者として位置づけられています。彼の生き方や教えは、ただ単に古代のものに留まらず、現在の私たちにも大きな示唆を与える存在として受け継がれています。

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