網掛川

網掛川（あみかけがわ）

概要

網掛川は、鹿児島県霧島市溝辺町竹子に源を起こし、姶良市を流れて鹿児島湾（錦江湾）に合流する二級河川です。当川の流域は歴史的にも地形的にも重要で、地域住民の生活に深く関与しています。

地名の由来

網掛川という名前の由来には、一つの興味深い故事があります。かつて漁師がこの川で漁をしていた際、地蔵菩薩の木像が網に掛かり引き上げられたとのことです。この出来事が名称の由来となり、網掛川最下流に位置している網掛橋の近くでこの地蔵像が引き上げられたとされています。最初は河口付近に小さな庵が建てられ、その地蔵像が祀られていましたが、後に鹿児島市内の天文館南側に移され、現在も「地蔵角」という地名として残っています。元の庵のあった場所には新たに地蔵像が建立されています。

地理的特徴

網掛川の源流は霧島市溝辺町竹子にあり、ほぼ南へ流れます。流域内では溝辺町有川と溝辺町麓の境界付近をうねりながら進み、姶良市へと入ります。このエリアでは旧加治木町を貫通し、特に加治木町小山田では南流を続け、流入する崎森川と合流します。加治木町南部には板井手の滝という小さな滝も存在し、里山の風景を形成しています。その後、河川はシラス台地から姶良平野へ流れ込んでいき、落差46mの龍門滝を形成する点も特筆すべきです。

支流としては宇曽木川があり、溝辺町有川に源を持ち、南流して網掛川に合流します。この流域には1987年に完成した竹山ダムがあり、灌漑目的で利用されています。さらに、網掛川の左岸側には加治木町反土、右岸には加治木町木田が広がり、その周辺には分かれた町名が新たに設定されています。これにより、加治木町の市街地は一定の特徴を持つ存在となっています。

歴史的背景

網掛川の河口付近は、鉄道が建設される前は重要な港として機能していました。明治時代に国道10号が設置されるまでは、人々や物資が加治木から船で輸送され、多くはここを利用しました。このため、加治木は交通の要所として繁栄を遂げましたが、鉄道の開通によりその役割は徐々に失われました。現在では、加治木港が整備され、新たな岸壁が完成することで、5,000トン級の船も入港できるようになっています。

加治木町周辺はかつて洪水に悩まされることが多く、特に梅雨の季節には川が氾濫することが多かったという記録があります。源流近くの竹子地区では水の取り合いのために石が投げられることもあり、そのために「竹子の石には角がない」と言われていました。しかし、江戸時代からの用水路整備や近年の竹山ダム建設によって利水と治水の面は改善され、現在では洪水の心配は少なくなりました。

2025年8月8日には大雨によって霧島市隼人町や姶良市加治木町で氾濫が発生し、多くの家屋が浸水し、道路や橋が流出する被害も報告されています。このように、網掛川は歴史的にも自然環境的にも地域に大きな影響を与えてきた重要な河川です。

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