加治木町

加治木町（かじきちょう）

加治木町は、かつて鹿児島県の中央部に位置していた町です。姶良郡に属し、2010年 3月23日に姶良[[町]]、蒲生町と合併し、姶良市となりました。ここでは、加治木町の歴史、地理、文化について詳しく解説します。

地理

加治木町は、鹿児島県の中央部に位置し、南側は鹿児島湾に面していました。沿岸部には別府川、網掛川、日木山川が流れ込み、これらの河川によって形成された沖積平野は姶良平野の一部を構成していました。この平野部は、隣接する姶良[[町]]南部と繋がっており、町の中心市街地が形成されていました。鹿児島市からの交通の便が良く、ベッドタウンとしての役割も担っていました。一方、北部は十三塚原と呼ばれるシラス台地が広がり、霧島市との境界にかけては畑作地帯となっていました。

隣接していた市[[町村]]

霧島市
姶良郡姶良[[町]]

歴史

加治木という地名は、「柁の木伝説」に由来します。船の舵を置いたところから芽が出て木が生えたという伝説から「柁木」「柁城」と呼ばれるようになり、それが転じて「加治木」になったとされています。加治木町仮屋町には、この伝説に由来するクスノキがあり、その向かいには柁城小学校が立っています。町の木もクスノキでした。

中世

平安時代頃からこの地域を支配していたのは、大蔵氏の一族とされる加治木氏でした。当初は日木山付近を拠点としていましたが、後に加治木城を築いて本拠地としました。私領の形成過程で大隅正八幡宮（鹿児島神宮）への寄進を経ており、中世には正八幡宮領となっていました。

南北朝時代から戦国時代にかけて、この地域は争乱の舞台となりました。蒲生氏、帖佐の平山氏などと協力したり対立したりしながら、島津氏との勢力争いを繰り広げていました。1496年には島津忠昌が加治木を平定し、加治木氏による支配は終わりを迎えました。

しかし、島津氏による支配も安定せず、一時的に肝付氏がこの地を支配しました。その後、1549年に島津氏が肝付氏を降伏させ、以降、約68年間、島津氏配下の肝付氏による加治木統治が行われました。

近世

豊臣秀吉の九州征伐の結果、加治木は一時的に秀吉の蔵入地となり、石田三成がその代官となりました。しかし、文禄・慶長の役の功績により、1599年に加治木は再び島津氏の領地に戻されました。この頃、朝鮮半島から連れ帰られた職人によって龍門司焼の窯が開かれました。また、島津義弘は現在の加治木高校の場所に加治木館を築いて住んでいました。

江戸時代には、島津忠朗が加治木に入り、加治木島津家の初代となりました。以後、加治木は幕末まで加治木島津家の私領でした。加治木は薩摩街道の要所として栄え、姶良郡の中心都市でした。

近代

明治時代になると、加治木は一時的に都城県に属したり、鹿児島県の第一支庁が置かれたり、西南戦争で焼失した鹿児島県庁の仮庁舎が置かれたりしました。1889年に町村制が施行され、周辺の村が合併して加治木村が発足しました。1901年には鉄道が開業し、加治木駅が設置されました。1912年には鹿児島県で最初の町制を施行し、加治木町となりました。

第二次世界大戦中には空襲を受け、大きな被害を出しました。1945年の2度の空襲で市街地は広範囲に焼失し、多くの犠牲者が出ました。戦後、焼け跡を整理して現在の街区が形成されました。また、加治木港では外地からの引揚者の受け入れが行われました。

現代

戦後の行政改革により、周辺の地域が加治木町に編入されました。そして2010年、加治木町は姶良[[町]]、蒲生町と合併し、姶良市となりました。

行政

歴代の町村長は以下の通りです。

町村長（1889年〜1912年）

石神安光（1889年5月 - 1893年5月）
池直一（1893年5月 - 1903年2月）
本田克（1903年2月 - 1904年2月）
上村与八（1904年2月 - 1912年5月）

町長（1912年〜2010年）

石神安光（1912年6月 - 1913年9月）
池直一（1913年9月 - 1915年5月）
牧清澄（1915年5月 - 1918年2月）
曾木豊二（1918年2月 - 1924年5月）
法元定一郎（1924年5月 - 1925年10月）
日高彦一（1925年10月 - 1945年10月）
曾木豊二（1945年11月 - 1947年2月）
伊藤賢二（1947年4月 - 1947年4月）
曾木隆輝（1947年5月 - 1954年12月）
緒方明男（1954年12月 - 1958年12月）
曾木隆輝（1958年12月 - 1974年12月）
東國雄（1974年12月 - 1986年12月）
宇都宮明人（1986年12月 - 1998年12月）
川野威朗（1998年12月 - 2006年12月）
笹山義弘（2006年12月 - 2010年3月）

産業

農業は水田稲作が中心で、その他に野菜の栽培が行われています。伝統的な薩摩焼である龍門司焼の生産も行われています。加治木町の中心部には商店街がありましたが、近年では国道10号線沿いに大型店舗が進出しています。

教育

短期大学

正心女子短期大学（1986年度に廃止）

高等学校

鹿児島県立加治木高等学校
鹿児島県立加治木工業高等学校
龍桜高等学校（旧加治木女子高等学校）

中学校

加治木町立加治木中学校

小学校

加治木町立柁城小学校
加治木町立錦江小学校
加治木町立竜門小学校
加治木町立永原小学校
加治木町立加治木小学校

特別支援学校

鹿児島県立加治木養護学校

交通

最寄りの空港は鹿児島空港です。

鉄道

JR九州日豊本線
加治木駅
錦江駅

バス

鹿児島交通
南国交通

道路

九州自動車道・東九州自動車道（隼人道路）
加治木ジャンクション
加治木インターチェンジ
国道10号
主要地方道
鹿児島県道42号川内加治木線
鹿児島県道51号宮之城加治木線
鹿児島県道55号栗野加治木線
鹿児島県道56号隼人加治木線

港湾

加治木港

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

さえずりの森
陶夢（とむ）ランド
龍門滝（日本の滝百選）
椋鳩十文学記念館
加治木くも合戦（6月）
夏祭り大会（8月）

出身有名人

鶴ヶ嶺昭男（大相撲関脇）
スマイリー園田（MBCタレント）
神田橋條治（精神科医）
笹峯愛

加治木町が登場した小説

山崎豊子『二つの祖国』

参考文献

加治木郷土誌編さん委員会編『加治木郷土誌』（平成4年改定版）加治木町、1991年11月。

関連項目

加治木饅頭
* 鹿児島県の廃止市[[町村]]一覧

もう一度検索