綾瀬川山左エ門

綾瀬川山左エ門の生涯と業績

綾瀬川山左エ門（本名：川村藤次郎）は、1835年10月生まれで、1877年3月8日に亡くなった大阪府大阪市出身の大相撲力士です。彼は、最高位である大関に昇進した稀有な存在であり、斬新な技術と能弁さが評判でした。

始まりの道

彼の出生地は様々に記述されていますが、大坂相撲に初めて入門した彼は、湊の門下生として力を磨きました。初期には「登り舟」や「達ノ森」といった四股名で活躍しましたが、のちに江戸に移り、9代横綱、秀ノ山の門に入ることになります。江戸に来てからは「達ヶ関」と名乗り、文久元年（1861年）には幕下二段目に昇進し、その道を歩み始めました。

一流力士としての成長

門下での厳しい稽古に励み、強豪たちと共に汗を流す中で、彼は着実に実力をつけていきました。慶応2年（1866年）には姫路藩のお抱えになると、相生松五郎と名前を変え、その後も幾度かの好成績を収めました。最高成績を挙げた慶応4年（1868年）5月の場所では、彼は9戦全勝を達成し、その後明治元年11月場所でついに入幕、明治最初の幕内力士となるのです。この時代の相撲界における彼の登場は、日本相撲界にとっても重要な歴史的瞬間でした。

波乱の経歴

明治維新による廃藩置県の影響で、相生としての身分を失った彼は、新たな場所を求め土佐山内家に仕官し、再び名乗りを変えて「綾瀬川山左エ門」となります。この選択が引き起こした波乱は、その後の人生にも影響を与えました。彼の裏切りを受けて高見山が激怒し、綾瀬川を討つための書状を出した事件は、相撲界でも有名な出来事です。

彼は一時、危うい立場に置かれることになりますが、年寄　玉垣らの助けを受けて難を逃れます。約束により「一生大関を務めることはない」と誓うことで、ようやく事態は収束しました。これにより彼は再び相撲界に返り咲き、明治5年（1872年）にはついに大関へ登りつめることになります。

相撲人生の終焉

以降、彼は順調に成績を重ねたものの、双方の信頼関係に一度歯車が狂ってしまいます。高見山との関係が再び緊張し、彼は再三にわたって年寄たちとの間で裏切りを繰り返すことになります。それでも、土俵に立つ彼は力水を一度しかつけず、その姿勢で優れた態度を保ったという評判があります。

明治9年（1876年）には現役を引退し、相撲からは離れたものの、食事処「綾瀬川」を開業し、料理の腕前も発揮しました。引退後しばらくして、彼は美しい風貌と文才でも知られ、さまざまな分野で活躍しました。最後は戦後大阪に赴き、その生涯を閉じました。

伝説的存在

その功績と影響力は、彼の子息である新派俳優の栗島狭衣や、孫の女優栗島すみ子など、後世に引き継がれています。綾瀬川山左エ門の波乱万丈な生涯は、今日においても多くの人々に語り継がれていることでしょう。校庭に響く四股名は、彼の栄光を決して忘れさせることはありません。

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