綾部城 (肥前国)

綾部城

綾部城は、佐賀県三養基郡みやき町原古賀に位置する山城です。綾部神社の裏手、標高128mの丘陵に築かれ、筑後川に近い地理的特性から、日の隈山や朝日山といった山々と連なり、博多への間道を監視する要衝でした。

歴史

平安・鎌倉時代

綾部城の歴史は古く、藤原通良が平治の乱に応じてこの城で挙兵した記録から、平安時代には既に存在していたと考えられます。文治3年（1187年）には、藤原通良の子である藤原通俊が綾部荘を与えられ、綾部氏を名乗り、以後代々この城を居城としました。

室町・戦国時代

室町時代から戦国時代にかけては、肥前守護所である綾部館の詰城として、足利一門の一色氏や今川氏がこの城を拠点としました。応永9年（1402年）頃には、足利一門の渋川満頼が拠点を構え、以後、九州探題と肥前守護を兼任した渋川氏が代々居城としました。

『海東諸国記』には、当時の綾部城について、「九州節度史（九州探題）は、肥前州綾部に居す。……民居一千余戸、正兵二百五十余なり。九州の兵を総治す」と記されていますが、当時の渋川氏は東肥前の一勢力として衰退していました。渋川氏は中国地方の大内氏の支援を受け、敵対する少弐氏や菊池氏と戦い、しばしば筑前に逃れることもありました。

この頃、綾部氏は渋川氏に従っていましたが、天文3年（1534年）に渋川氏は滅亡します。元亀2年（1571年）には、綾部鎮幸が龍造寺隆信に敗れたことで筑紫氏が入り、後に龍造寺氏の支配下となりました。

なお、近隣の少弐山城を綾部城と呼ぶこともあり、戦国時代には少弐氏の一門である馬場氏が居城としていました。

構造

綾部城は、丘陵の地形を活かした山城であり、主要な支城として西側に白虎山城と臥牛城がありました。これらの支城と連携し、地域一帯の防衛線を形成していました。

現在

現在、綾部城跡には石碑などが残されており、その歴史を偲ぶことができます。みやき町の歴史を語る上で重要な史跡となっています。

関連項目

日本の城一覧
綾部鎮幸

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