緑大橋

緑大橋：平和記念公園への入口

広島市中区を流れる天満川に架かる緑大橋は、戦後復興を象徴する橋梁として、広島の歴史に深く関わっています。特徴的なデザインと、周辺の都市景観との調和が評価され、地元住民に親しまれてきました。

デザインと構造

緑大橋は、高欄全体に施されたテラゾー（人造大理石）の研ぎ出しが美しい、独特の意匠が目を引きます。頂部には天然御影石が使用され、洗練されたデザインとなっています。このテラゾーを用いた高欄のデザインは、近隣の平和大橋、西平和大橋と共通しており、平和大通り沿いに連続する美しい景観を形成しています。

橋の構造は、周辺環境に配慮した設計となっており、比較的低い高欄が特徴的です。このデザインは、周辺の街並みに溶け込むことを意図したもので、視覚的な一体感をもたらしています。しかし、近年ではこの低い高欄が、安全面での懸念材料となっています。

歴史と周辺環境

緑大橋が架けられた背景には、1949年に公布された広島平和記念都市建設法があります。この法律に基づき、戦災からの復興事業として平和大通りが整備され、その重要な一部として緑大橋は1953年6月に竣工しました。

緑大橋の東側には、広島市道横川江波線（舟入通り）と広島電鉄江波線が交差する地点があり、さらに東へ進むと西平和大橋を経て広島平和記念公園へと至ります。西側には、広島電鉄本線の併用橋である新己斐橋が架かっています。また、天満川の上流には広電天満橋（広電本線の電車専用橋）、下流には観船橋があります。これらの橋梁と緑大橋は、広島市の交通ネットワークにおいて重要な役割を果たしています。

課題と今後の展望

近年、緑大橋はいくつかの課題に直面しています。まず、前述の通り、低い高欄が安全性の問題として指摘されています。また、増加する交通量に対応するため、橋の幅員を広げる必要性も出てきています。さらに、広電本線の軌道変更や「平和大通りリニューアル事業」も、緑大橋の改修計画に影響を与えています。

これらの課題を解決するため、広島市では平和大橋、西平和大橋と共に緑大橋の老朽化対策として、かけ替えが検討されています。安全性、利便性、景観の調和を考慮した上で、新たな緑大橋の計画が今後進められることが期待されています。将来の緑大橋は、広島市の発展を支える重要なインフラとして、さらに重要な役割を担うことになるでしょう。

参考文献

「平和大橋歩道橋の整備方針」の概要 - 広島市
路面電車のアクセス改善についての取り組み方針 - 広島市

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