緒川尊

緒川 尊（おがわ たける）は、1983年3月10日に兵庫県で生まれた日本の俳優です。旧芸名として小川 尊（読み同じ）名義で活動していた時期もあります。身長は185cmと恵まれた体格を持ち、現在はエビス大黒舎に所属しています。

彼の俳優としてのキャリアは、2001年に横浜国立大学の映画研究部で自主映画制作に携わったことから始まりました。この経験が俳優という職業を志すきっかけとなり、現代製作舎アクターズアカデミー赤坂に入所して演技の道を本格的に歩み始めます。

特に注目すべきは、2003年から2008年にかけて劇作家・演出家の唐十郎に師事した期間です。劇団唐ゼミ☆の旗揚げにも関わり、この劇団の主要メンバーとして約5年間、年に3本から4本のペースで唐十郎作品の舞台に精力的に参加しました。独特の世界観を持つ唐十郎作品での経験は、彼の俳優としての基礎を築き、表現の幅を広げる上で極めて重要なものとなりました。

劇団唐ゼミ☆を退団した後、緒川尊は活動の場を映像作品へと広げていきます。自主制作映画から商業映画、テレビドラマまで、多種多様な作品に出演するようになりました。

映画においては、キャリア初期の瀬田なつき監督作品「とどまるか、なくなるか」（2002年）や高橋洋監督の「アメリカ刑事」（2003年）に端役で出演したのを皮切りに、次第に存在感を示すようになります。後閑広監督の「人の砂漠『屑の世界』」（2010年）やポール・ヤング監督の「真夜中の羊」（同年）では警察官役を演じ、万田邦敏監督の「面影」（2010年）では準主役を務めるなど、重要な役どころも経験。その他にも、リム・カーワイ監督の「新世界の夜明け」（2011年）、安里麻里監督の「ゴメンナサイ」（2011年）や「携帯彼女」（2011年）、佐藤央監督「MISSING」（2011年）、園子温監督の「ヒミズ」（2012年）といった話題作にも参加しています。安里麻里監督作品には複数回出演しており、「リアル鬼ごっこ」（2012年）のカケバヤシ役、「バイロケーション」（2014年）などがあります。さらに、御法川修監督「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」（2013年）や濱口竜介監督「不気味なものの肌に触れる」（2014年）といった日本映画界の注目作にも出演し、多様な役柄を演じ分けています。

テレビドラマへの出演も多数あります。WOWOWの「贖罪」（2012年、第1話・最終話）では警官役、TBSの「MONSTERS」（2012年、第6話）では部下役を演じました。NHK教育テレビの子供番組「beポンキッキーズ」ではロンゴマックスのゼロの声という声優としての出演も果たしています。テレビ東京の「昼のセント酒」（2016年、第3話）やフジテレビの「きみはペット」（2017年、第1・7話）では外報部社員役で登場。近年では、旧芸名の小川尊名義でテレビ東京のドラマ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」（2025年4月）にも出演するなど、テレビドラマの分野でも活動を継続しています。

舞台活動としては、唐ゼミ☆在籍時には「ジョン・シルバー」（2002年）、「少女都市からの呼び声」（2003年）、「鉛の心臓」（2003年）、「お化け煙突物語」（2006年）、「ユニコン物語」（2006年）、「ジョン・シルバー(続)」（2007年）など、唐十郎作品を中心に多数出演。劇団退団後も、さいたまネクスト・シアター公演「オイディプス王」（2013年）や泉鏡花×鳥山昌克vol.3「幻の絵馬」（2014年）など、外部の舞台にも参加しています。

これら以外にも、CM、WEBドラマ、ラジオドラマ、Vシネマなど、幅広いメディアでその姿を見せています。日本コカ・コーラ「紅茶花伝」、アクサダイレクト、SUBARU、スーツのはるやま、JT、日本HPといった企業CMや、イトーヨーカドーのWEBドラマ、TOKYO FMのラジオドラマ「ピートのふしぎなガレージ」、Vシネマ「首領の道 完結編」での仙石士郎役、三菱電機の新聞広告などに登場。硬派な役からコミカルな役まで、その長身と確かな演技力で様々なキャラクターを演じ分け、活動の幅を広げ続けている俳優です。

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