線形結晶無酸素銅

線形結晶無酸素銅（Linear Crystal Oxygen-Free Copper、LC-OFC）は、1980年代頃に日立電線株式会社によって発表された音響用途向けの特殊な無酸素銅です。

このLC-OFCは、銅の純度が99.996%（4N）以上と非常に高く、酸素含有量は10ppm以下という厳格な基準（日本工業規格 JIS H 2123『型銅』規定C1011-C1相当）を満たしています。その最大の特徴は、理論上、銅の結晶を大きく成長させることで、結晶境界で発生する信号伝達のロスを最小限に抑えることができる点にあります。これにより、従来の無酸素銅と比較して、よりクリアで高音質な信号伝達が期待されていました。

しかし、この画期的な技術は、特許として認められるには至りませんでした。日立電線は特許庁長官を相手取り訴訟を起こしましたが、控訴審まで争った結果、東京高裁平成4年11月18日の判決（事件番号 - 平成２年（行ケ）２６１号）で敗訴し、特許は成立しませんでした。

現在、LC-OFCを使用した製品は販売されていません。[日立電線]]は、通常のタフピッチ銅(TPC)や[[無酸素銅]と比較して音質が変化しないとは言わないまでも、ビジネスとして継続することが困難になったため、製造を中止したとコメントしています。

2016年時点では、JVCケンウッド（JVCブランド）が発売する一部のオーディオ用アナログラインケーブル（RCA端子）、デジタルオーディオ用同軸ラインケーブル（S/PDIF|S_PDIF）、および映像機器用（S端子、RCA端子、コンポーネント端子、D端子）ケーブルに、このLC-OFCが採用されていました。しかし、2017年末までにこれらの製品も全て生産が完了し、LC-OFCを使用した製品は市場から姿を消すことになりました。2019年現在では、ごくわずかな店頭在庫のみが販売されており、在庫が無くなり次第、販売は完全に終了する見込みです。

関連項目

PCOCC

参考文献

日立無酸素銅<OFC>カタログ、2007年3月。
* 日立音響設備用ケーブルOFC/LC-OFCカタログ、2001年2月。

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