コンポーネント端子

コンポーネント端子：高画質映像伝送のためのインターフェース

コンポーネント端子、あるいは色差端子とは、映像信号を輝度信号と色差信号に分割して伝送するアナログ映像インターフェースです。RCA端子と同様の形状の端子を3つ用い、それぞれ輝度信号(Y)、青色差信号(B-YまたはCb)、赤色差信号(R-YまたはCr)を伝送します。ケーブルの色分けは、Yを緑、B-Yを青、R-Yを赤とするのが一般的です。業務用機器では、3BNC端子が用いられる場合もあります。

規格と歴史

日本のハイビジョン放送開始(MUSE方式)と前後して普及しました。JEITA CP-1213規格に準拠し、高品質な映像信号を劣化させずに伝送することを目的としています。480i信号には対応していません。

当初はハイビジョンテレビやMUSEデコーダ内蔵テレビ、W-VHSデッキ、ハイビジョンLDプレーヤーなどで使用されました。1080i固定出力のBSデジタルチューナーにも採用されています。1080i出力機器をMUSE時代のコンポーネント端子に接続した場合、画角がわずかに変わる場合がありますが、高精細な映像を楽しむことができます。

北米など海外では、Y・Pb・Pr表記が一般的で、480i/pや576i/p信号にも対応する機器も存在します。日本でも海外メーカーの機器ではY・Pb・Pr表記のものが見られます。

[DVDプレーヤー]]の登場(1996年)により、DVD向けの色差端子も登場しました。初期のDVDプレーヤーではY・Cb・Cr表記が用いられましたが、[[ハイビジョン]向けにはY・Pb・Pr表記が用いられるようになりました。1999年からはプログレッシブ出力(480p)に対応したプレーヤーが登場し、Y・Cb・Cr表記とY・Pb/Cb・Pr/Cr表記が混在する時期がありました。現在では、出力解像度に関わらずY・Pb/Cb・Pr/Cr表記が一般的です。

家庭用テレビによっては、Y・Pb・PrとY・Cb・Crの切り替え機能を持つ機種もあります。DVD再生ではY・Cb・Cr設定が推奨される場合があります。

D端子との比較

D端子は、コンポーネント端子の接続の煩雑さや識別信号の伝送の弱点を克服するために開発された、日本独自の規格です。しかし、ケーブル構造上の制約から、信号劣化を起こしやすいという弱点も持っています。特に長距離伝送では劣化が顕著になります。そのため、高級機器ではコンポーネント端子が依然として採用されています。D端子とコンポーネント端子の変換ケーブルも市販されています。なお、D端子はコンポーネント端子の一種とみなされる場合もあります。

将来展望

コンポーネント端子はアナログ信号であるため、著作権保護技術(AACS)の影響を受け、2011年以降、BDレコーダーやプレーヤーなどから順次廃止されていきました。2014年には、多くの機器から搭載が消滅しました。そのため、HDMIへの一本化が進み、コンポーネント端子はD端子と共に、現在では事実上、姿を消しつつあります。2020年までに国内メーカーは生産を終了しています。

注意事項

LDとDVDの複合機においては、DVDはコンポーネント出力に対応していても、LDをコンポーネント出力するとモノクロになる機種があります。

まとめ

コンポーネント端子は、かつて高画質映像伝送において重要な役割を果たしたインターフェースですが、デジタル技術の発展に伴い、HDMIなどのデジタルインターフェースに取って代わられつつあります。その歴史と技術的な特徴を知ることは、映像技術の歴史を理解する上で重要です。

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