練習艦隊 (海上自衛隊)

海上自衛隊 練習艦隊

練習艦隊は、海上自衛隊における教育専門の部隊であり、初任幹部自衛官や術科学校の学生に対する海洋訓練を担当しています。自衛艦隊に所属するものの、その規模は通常の艦隊よりも小さく、英語では「Training Squadron」と訳されます。練習艦として特別な艦種（TV）が設けられていることも特徴です。

概要

練習艦隊は、自衛隊法に明文規定のある防衛大臣直轄部隊であり、自衛艦隊、地方隊、教育[[航空集団]]と並ぶ重要な組織です。練習艦隊司令官は海将補が務め、防衛大臣から直接指揮監督を受けます。司令部は呉基地に置かれています。

1957年5月10日、初任幹部自衛官や術科学校学生に対する海洋訓練の必要性から、第1警戒隊群を母体として練習隊群が編成されました。当初はPF（警備艦）編成の練習隊2隊とLSSL（小型輸送艇）編成の練習隊3隊で構成されていましたが、1961年6月12日の自衛隊法一部改正により、現在の「練習艦隊」に名称が変更されました。

海上自衛隊の幹部候補生は、幹部候補生学校を卒業すると同時に3等海尉（大学院卒は2等海尉）に任官され、卒業証書入りの筒を左手に持ち、音楽隊の演奏の中を学校内を行進し、江田島湾に面した桟橋から、沖に停泊している練習艦隊の各艦に乗り込むのが慣例となっています。

沿革

1957年（昭和32年）5月10日：練習隊群が新編される（司令部、旗艦：警備艦「うめ」、第1・第2・第11・第12・第13練習隊）。
1958年（昭和33年）
1月14日：初の遠洋練習航海を実施（2月25日まで）。
4月1日：第11・第12・第13練習隊を廃止。
1961年（昭和36年）6月12日：練習隊群が練習艦隊に改称、練習隊群司令が練習艦隊司令官に改称。
1963年度（昭和38年度）：初の欧州訪問（第7回遠洋練習航海）。
1970年（昭和45年）
3月2日：第2練習隊が廃止。
6月30日：練習艦「かとり」と護衛艦「きくづき」が海上自衛隊として初の世界一周を達成（第14回遠洋練習航海）。
1976年度（昭和51年度）：練習艦「かとり」と護衛艦「ながつき」がアメリカ建国200周年記念観艦式に参加（第20回遠洋練習航海）。
1986年度（昭和61年度）：練習艦「かとり」と護衛艦「ながつき」が自由の女神100周年記念国際観艦式に参加（第30回遠洋練習航海）。
1988年度（昭和63年度）：練習艦「かとり」と護衛艦「せとゆき」、「しまゆき」がオーストラリア建国200周年記念国際観艦式に参加（第32回遠洋練習航海）。
1994年（平成6年）
1月20日：練習艦隊司令部が横須賀基地から呉基地に移転。
同年度：練習艦「かとり」の老齢化により、25年ぶりに護衛艦のみの編成となる（第38回遠洋練習航海）。
1995年（平成7年）
1月26日：練習艦「かしま」が就役し、直轄艦として編入、「かとり」は第1練習隊に編成替え。
同年度：練習艦「かしま」が遠洋練習航海に参加し、女性自衛官も参加可能に（第39回遠洋練習航海）。
1996年度（平成8年度）：大韓民国を初訪問（第40回遠洋練習航海）。
1998年（平成10年）3月20日：「かとり」を除籍。
2004年度（平成16年度）：第54期一般幹部候補生課程修了者を含む約740名が南北アメリカ方面へ派遣（第48回遠洋練習航海）。
2005年度（平成17年度）：ロシア連邦を初訪問、カンボジアのシアヌールビルに初寄港（第49回遠洋練習航海）。日露通好条約150周年記念行事やトラファルガー海戦200周年記念観艦式にも参加。
2006年度（平成18年度）：カナダ、ドミニカ共和国、ホンジュラス共和国、メキシコ合衆国、パナマ共和国、アメリカ合衆国を訪問（第50回遠洋練習航海）。
2007年度（平成19年度）：太平洋上で洋上慰霊祭を実施。アメリカ合衆国、エルサルバドル共和国、チリ共和国、ペルー共和国、メキシコ合衆国、仏領ポリネシア、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシア、大韓民国を訪問（第51回遠洋練習航海）。
2008年度（平成20年度）：太平洋上と地中海上で洋上慰霊祭を実施。サンパウロ市内での日本人移民100周年記念式典に参加。アメリカ合衆国、パナマ共和国、ブラジル連邦共和国、セネガル共和国、フランス共和国、オランダ、イギリス、エジプト、インド、シンガポールを訪問（第52回遠洋練習航海）。
2014年度（平成26年度）：海上自衛隊として初めてキューバを訪問。ソロモン諸島における戦没者遺骨収集帰還事業を支援（第58回遠洋練習航海）。
2016年度（平成28年度）：遠洋練習航海中に乗員の自殺が発生（第60回遠洋練習航海）。
2020年度（令和2年度）：新型コロナウイルス対策のため、遠洋練習航海が初の2期制に。前期はシンガポールのみ、後期は練習艦「かしま」1隻でアメリカ合衆国に寄港、海上自衛隊として初めてベーリング海峡を周回し、北極圏に到達（第64回遠洋練習航海）。
2022年度（令和4年度）：3年ぶりに出国行事が行われ、西回りに地球を一周する航程で、東ティモール、スリランカ、ジブチ、イギリス、フランス、パナマ、アメリカ合衆国を訪問（第66回遠洋練習航海）。

遠洋練習航海

1958年以降、毎年実施されている遠洋練習航海は、海上自衛隊幹部候補生学校の一般幹部候補生課程を卒業した実習幹部にとって、重要な実習の機会となっています。近年では、中近東や湾岸諸国への寄港も行われています。

外国訪問時には、旗艦による礼砲交換が実施されるほか、寄港地での式典や親善行事では、海上自衛隊の全音楽隊から選抜された隊員で構成される「練習艦隊司令部音楽隊」が演奏を行います。

部隊編成

練習艦隊司令部（呉基地）
直轄艦：練習艦「かしま」（TV-3508）
第1練習隊
練習艦「はたかぜ」（TV-3520）
練習艦「しまかぜ」（TV-3521）

主要幹部

（※主要幹部については、最新情報をご確認ください。）

脚注

（※脚注については、原文をご参照ください。）

関連項目

海上自衛隊幹部候補生学校
敦睦艦隊（台湾）
巡航訓練 (韓国海軍)

外部リンク

練習艦隊ホームページ
海上自衛隊日本国練習艦隊(@Jmsdf_tshq) - Twitter
第1練習隊
* 練習隊の編制に関する訓令

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